ときの忘れもの 今月のお勧め
■2016年12月01日(木)  野口琢郎 《Landscape#32》
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野口琢郎
《Landscape#32》
2014年
箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、透明アクリル絵具)
227.3×145.5cm
サインあり

作家コメント
画像で見て頂くと一目瞭然ですが、まず一番目立っていた金地の盛り上げ部分を、部分的に残した以外はノミで全て剥がし、左下の水玉部分他、何ヶ所かもヤスリで表面を削りました。 ノミでパネルまで傷つけてしまった箇所はパテで補修し、削った部分にそれぞれまた地の漆を塗り直してから、密度にこだわってコツコツと箔押しをした結果、元の作品よりも質の高い、良い作品に仕上げる事ができました。不思議なもので、細部を描き密度が増した事で全体の迫力が増し、作品のサイズまで大きく感じます。 また、石炭によって黒い道を描いた事で、作品を寝かして俯瞰するとまるで本当の町を見渡しているようにも見えます。

野口琢郎 Takuro NOGUCHI
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。


■2016年11月01日(火)  光嶋裕介 《ベルリン》
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光嶋裕介
《ベルリン》
2016年
和紙にインク
45.0×90.0cm
サインあり

作家コメント
雲のような、大地のような、予期せぬ形で混ざり合う白黒の和紙のなかに、古典主義の建築家シンケルを、モダニストのミースを、シャローンのフェルハーモニーを描き込んでいく。思いが赴くままにペンを進めていく。ひとつの建築を描き、余白との関係性を考慮しながら、次の建築を描き足していく。直感的に全体のバランスを意識しながらジャズのインプロビゼーション(即興)のようにして、ドローイングを描いていく。現実と幻想の狭間を彷徨いながら、独特な質感が獲得されていく。それは、建築群によって立ち上がる空間の質感のようなもの。

光嶋裕介 Yusuke KOSHIMA
建築家、一級建築士。 1979年米国ニュージャージー州生。 87年に日本に帰国。 以降、カナダ(トロント)、 イギリス(マンチェスター)、 東京で育ち、最終的に 早稲田大学大学院修士課程建築学を 2004年に卒業。 同年にザウアブルッフ・ハットン・ アーキテクツ(ベルリン)に就職。 2008年にドイツより帰国し、 光嶋裕介建築設計事務所を主宰。 2010年に桑沢デザイン研究所、 2011年に日本大学短期大学部にて 非常勤講師に就任。


■2016年10月01日(土)  秋葉シスイ「次の嵐を用意している」
akiba_32.JPG 600×481 140K 秋葉シスイ
《次の嵐を用意している》(24)
2016年
油彩、キャンバス
112.0x162.0cm (P100号)
サインあり

作家コメント
一番新しく描いた絵は、そのときの自分の状態と反して、とても静かで穏やかな絵になりました。
自分が心がけていることに、「深刻でない暗さ」というのがあります。
淋しさとか、取り残される感覚とか、それも肯定するような絵でありたいのです。
毎回コメントを求められる度に言っていますが、海の音を聞いていると、焚き火の炎を見ていると心が落ち着くように、自分の絵もそういう存在に近づけたらいいなと思います。
自分は恵まれた環境をいただいていて、大学を卒業してからもずっと絵を描き続けています。
「淡々と、続ける。」
これを今より大切にしながら、また絵を描いていきたいと思います。

秋葉シスイ Sisui AKIBA(1984-)
1984年千葉県生まれ。2007年和光大学表現学部芸術学科卒業。同年フタバ画廊で初個展「そこから」を開催。個展:2009年「向かう」(小島びじゅつ室/東京)、2010年「メロディーはない」(gallery坂巻/東京)、主なグループ展:2008年2009年「4 winds」(ときの忘れもの/東京)、2009年「この世界とのつながりかた」(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA/滋賀)。
人物が佇む静謐とした風景や、遠くに何かの気配が存在する風景、又それすら何もない風景を描き続けている。



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