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植田実のエッセイ 本との関係16

「幕間」

 『都市住宅』が創刊された1968年の秋に、津田正徹と同人誌『アウラ』第1号を出している。津田は専攻学部は違うが大学の部活で知り合った仲で、在学中からふたりの同人誌を出そうとせつかれていたが、万事に遅い私がようやくこの時期に応えられたわけである。『建築』から『都市住宅』へと場を変える合い間に、そんな時間が辛うじてとれたように覚えている。
 この小誌に書いた「ある長篇のためのノート」は、400字70枚近く、タイトルどおりノートとしても読めるが、その長篇を書こうとする行為が本来的に成り立たないことを書いた、いわばメタ小説でもあるつもりだった。しかしそうした構成そのものが自分でも未解決のままに活字にしてしまっている点では、ノートとさえいえない。「私」は戦災で家を失って以来しばらく離れていた東京に戻ってきて、子どもの頃のおぼろな記憶の場所を訪ねる。その記憶の蘇生のはかない一瞬を描くのが目的なのだが、その過去と現在との関係が描写できない。つまり知恵の輪を外すポイントが見つからないのである。いいかえればプルースト的時間の蘇生とは違う方向を求めたのだけれど、そちらには道がないことを確認したといっていいのかもしれない。
 『都市住宅クロニクル』をまとめるにあたり、このころの文章を読み返してみて、「ある長篇のためのノート」と重なるものを感じた。「ノート」は構想そのものが間違っているのは知っているが、脱け出す道が分からないまま、長いあいだ足止めをくっている。しかし破棄はできない。現在、ひとには絶対読まれたくない「ノート」だが、『アウラ』の表紙だけ掲げておく。

                             

2008.1.7 植田実



植田実のエッセイ
アウラ第1号
編集・発行 津田正徹・植田実
サイズ 209×147mm
本文60頁 平綴じ


























植田実のエッセイ



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