2004年4月〜の展覧会

弊廊「ときの忘れもの」の2004年4月〜の企画展・常設展のご案内を申し上げます。 

永井桃子展 第112回企画展

2004年4月20日(火)〜5月1日(土)
12:00〜19:00 日・月・祝日休廊
*4月20日(火)午後5時より、作家・永井桃子を囲んでオープニングをいたします。

●概要/2001年5月の銅版画展以来、3年ぶりに永井桃子の油彩新作展を開催します。
永井は幼少より母親に詩や物語を書いてもらい、そこからイメージを膨らませては、クロッキー帳に絵を描き続けていました。高校生のとき、母がつくった童話に、覚えたての銅版画に手彩色した作品をつくって一冊の絵本を創作しました。その『ウサギの畑』と題された絵本が、「夢見る子供童話賞」絵本部門大賞を受賞し、審査員の写真家浅井慎平氏に「ちょっと恐ろしく、すごく楽しく、そして美しい」と賛辞をおくられました。
 今回の油彩新作では、銅版の繊細な線とは異なる、花や草木が大胆かつのびやかに描かれ、おおらかなフォルムが美しい色彩によって画面一杯に広がります。
この作家の日常的ふるまいは「寡黙」を常としています。語りたい、語らせたい世の中にあって、饒舌とは対極のそのあり方は貴重です。「すべては言葉になるわけではないのだから、何かあらわしたいときは、ただ黙して、そこに居ればいいのだ」と、永井の絵は訴えているようにも思えます。
今回は116.8×274.0cmの大作など、油彩、ドローイングなど20数点を出品します。

●個展に寄せて(作家からのメッセージ)
 いつもとは違う道を歩きました。犬の気紛れのせいでしょうか。坂の上に昔通った幼稚園があるはずでした。
 しかし、辺りの様子は変わり、林であった所は住宅街になっていました。想像していた昔の風景は跡形もありません。見上げると、その一軒のベランダの隙間で真っ白な洗濯物が風で揺れ、午後の少し橙がかった日の中で光りました。その光は、昔から変らないある種の懐かしさを誘いました。
 そんな、日常の中で感じる記憶の中の光やイメージ。最近の制作です。展示空間は過ぎてゆく風景ですが、その印象がご覧頂いた方の記憶の端に残れば嬉しく、思います。
       2004年4月 永井桃子


●永井桃子(ながい ももこ)………1976年東京生まれ。2000年女子美術大学大学院修了。1992年東北電力「夢見る子供童話賞」絵本部門大賞受賞、受賞作品『ウサギの畑』は講談社から出版。1998年女子美術大学卒業制作展で優秀賞受賞。2001年トーキョーワンダーウォール賞受賞。個展:2000年スカイドアアートプレイス青山、2001年ときの忘れもの、2002年トーキョーワンダーウォール(東京都庁)、2003年銀座・ギャラリーアートポイント。

第113回企画展[ 小野隆生新作展 ]

会期………2004年5月14日(金)〜6月5日(土)12:00〜19:00 日曜・月曜・祝日は休廊              初日5月14日は小野隆生さんを交えて、オープニングを開催します。

●概要………イタリアの北、スイス・アルプスにも程近いビアンツァーノと、敬愛するペルジーノの故郷でもありイタリアらしさが色濃く残る中央イタリアのチッタ・デッラ・ピエヴェにそれぞれアトリエをつくり、油性テンペラで「肖像」をひたすら描き続ける小野隆生。その新作が、昨年に続き今春も届きました。
 2003年小野隆生新作展カタログに寄稿された「影の所在」という論文で、三上豊・和光大学芸術学科教授は小野作品を「影」と表現しています。

 「(前略)小野は肖像画を描いてきた。人物であれ身の回りの物であれ、彼が描くと、それは「肖 像画」になる。どこかにあった物や人は、彼の筆をとおして無表情な影になる。リアルに描かれていても、忠実にものに即して描かれているわけでなく、影となって表されている。「肖像画」というのは、小野にあって実在を映す影なのである。また実在とはモデルでなく、記憶に宿るもので、目に見えるものの形よりも強く刻印されているものだ。黒が作品の主要な色になっているのも、影を思わせ暗示的だ。 とすると、小野がかつて見てきたペルジーノやジオットをはじめ、面白いことの数々は、彼の なかに断片として記憶され、あるとき板やカンバスに焼きつけられるともいえよう。しかしなが ら、こういった文言で小野の作品がつかまえられるかというと、そうは簡単にいかない。するり と思考の手の内から抜けていく。なにしろ影なのだから。(後略)」

出品作品はテンペラ12点、デッサン12点の新作24点です。

小野隆生(おの たかお)………1950年岩手県生まれ。1971年20代に入ってすぐにイタリアに渡 る。ローマやフィレンツェの国立美術学校で絵画・彫刻を学び、1977年には国立ローマ中央修復 研究所絵画科に入学し、ヨーロッパの古典絵画を徹底して究めると同時に、それ以降イタリア各地の教会壁画や美術館収蔵作品の修復に1985年まで携わる。アッシジのサン=フランチェスコ教会のジオットによる連作「サン=フランチェスコの生涯」やチマブーエ作「中央祭壇壁画」「磔刑図」をはじめとして、ローマのコンセルヴァトーリ国立美術館やカピトリーナ国立絵画館の収蔵作品など数々の修復を手がけた。1976年銀座・現代画廊で第1回個展を開き、以後は個展での発表を主にし、油性テンペラによる肖像画を一貫して描き続けている。現在、イタリア在住。

テンペラ
画像をクリックすると拡大します。
小野隆生
「肖像11-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像12-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像13-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像14-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像15-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像16-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像17-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像18-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像19-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像20-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像21-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm
小野隆生
「肖像22-2004」
  2004年
油性テンペラ
40.0×30.0cm


デッサン
画像をクリックすると拡大します。
小野隆生
「画像1-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像2-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像3-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像4-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像5-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像6-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像7-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像8-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像9-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像10-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像11-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm
小野隆生
「画像12-2004」
  2004年
木炭デッサン
40.0×30.0cm

展示風景

オープニング風景

◆小野隆生作品集のご案内
(税込、送料は別途、お申し込みは電話・FAX・ハガキ・メールで)

1.「小野隆生新作展2004 図録」 18頁 2004年 ときの忘れもの 刊 1,050円

2.「版画掌誌ときの忘れもの 第1号 特集/小野隆生・三上誠」A版
 小野隆生 リトグラフ2点+三上誠銅版後刷り2点入り 限定28部(8/135〜35/135)
 文 /高橋睦郎・松永伍一・松本育子 1999年 ときの忘れもの刊 126,000円


3.「版画掌誌ときの忘れもの 第1号 特集/小野隆生・三上誠」B版
 小野隆生 リトグラフ1点入り 限定100部(36/135〜135/135)
 文/高橋睦郎・松永伍 一・松本育子 1999年 ときの忘れもの刊 36,750円

4.「小野隆生 銅版画集1995」銅版4点組
 限定35部 紙サイズ368×265mm 1995年 ときの忘れもの刊 126,000円 

5.「小野隆生 銅版画集1996 きょうもレコードの雑音だけが聞こえる」銅版8点組 限定35部 紙サイズ50.5×34.8cm 1996年 ときの忘れもの刊  210,000円 

6.「小野隆生版画集 壱千九百九拾九年」リトグラフ4点組 限定35部 紙サ イズ50×65cm 1999年 ときの忘れもの刊 141,750円 

7.「小野隆生展2003 図録」文/三上豊 18頁 2003年 ときの忘れもの 1,050円 

8.「小野隆生作品集 消えた風の方角」72頁 1998年 スカイドア 2,000円

9.「小野隆生作品集 消えた風の方角」銅版画1点入り特装版 限定75部  72頁 1998年 スカイドア+ときの忘れもの他の共同エディション 21,000円  

10. 小野隆生・舟越保武・松本竣介・萬鉄五郎・舟越桂他「岩手県立美術館所蔵作品選」175頁 2001年 岩手県立美術館 2,000円 
このページの価格の有効期限は2004年12月31日迄となっております。


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