2005年1月〜の展覧会

弊廊「ときの忘れもの」の2005年1月〜の企画展・常設展のご案内を申し上げます。 



<1月の展示 建築家の版画>

会期=2005年1月11日(火)〜1月29日(土)
会場=ときの忘れもの
出品=ル・コルビュジェ、安藤忠雄、磯崎新、石山修武、マイケル・グレイヴス

 優れた建築家=優れた画家である、というのはルネッサンスの画家たちを想起すれば成るほどとうなづけることでしょうが、建築家を単なる技術者としてしか見ない日本ではなかなか理解されません。
 古今の優れた建築家のなかには熱心に版画を制作したひとたちがいます。革命期フランスの建築家、ルドゥーは発注者のいない悲哀の中で自らの建築世界を版画によって永遠にとどめようとします。20世紀の巨匠、ル・コルビュジェ は、精力的に世界各地に優れた建築を残しましたが、その画家的資質がゆえに、生涯絵筆を離すことはありませんでした。
 自らの建築世界を語る表現として、現代においても版画やドローイングを制作することに強い情熱を燃やす一群の建築家がいます。
 今回の「建築家の版画展」では、ル・コルビュジェ、安藤忠雄、磯崎新、石山修武、マイケル・グレイヴスの5人の制作した版画作品を出品します。


◆ル・コルビュジエ Le Corbusier
(本名=シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)
 1887年スイスのジュラ地方ラ・ショー・ド・ファンに生まれる。1906年初めての住宅「ファレ邸」を設計。1917年パリに出るが、翌年左目を失明する。
『エスプリ・ヌーボー』の創刊に関わり、美術運動にも参加。1922年建築事務所設立。その活躍の場は建築、絵画、彫刻の分野に及ぶ。近代建築国際会議(CIAM)メンバーとして近代建築理論の最大の指導者であり、多くの油彩、版画、詩画集を残した。1965年没。
建築代表作=サヴォア邸、新時代館(パリ万博)、ロンシャンの教会、国立西洋美術館(東京)等。
 コルビュジエは、友人で画家のアメデ・オザンファンらと編集した『エスプリ・ヌーボー(新精神)』誌上でピュリズム(純粋主義)を提唱し、1920年代、ピュリズムの画家としてパリの画壇にデビューし注目を集めました。当初は、物体の幾何学的な美しさと調和のとれた構図の中で描いていましたが、やがてうねるような曲線を用い、放漫で重量感溢れる力強い女性を描くようになります。さらに第2次世界大戦後には、象徴的なモチーフを彫刻やタペストリーなどで表現することも始めました。晩年にはよりグラフィカルで大胆、色面と描線が自由に踊るような作品を制作するようになり、「直角の詩」などの挿画本を多く発表しました。「自分の建築は絵画という運河を通って来た」と、コルビュジエ自身述べています。
ル・コルビュジェ
「モデュロール」
1956年 リトグラフ  
作品サイズ70.3×52.8cm 
版上サイン
ル・コルビュジェ
『永久の海』より A
1962年
リトグラフ H.C.
作品サイズ57.5×52.2cm
版上サイン
ル・コルビュジェ
『永久の海』より B
1962年
リトグラフ H.C.
作品サイズ57.5×52.2cm
版上サイン
ル・コルビュジェ
『永久の海』より C
1962年
リトグラフ H.C.
作品サイズ57.5×52.2cm
版上サイン

◆安藤忠雄
 1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、69年安藤忠雄建築研究所設立。
1997年東京大学教授に就任。神戸震災復興にも尽力している。代表作は、住吉の長屋(大阪)、六甲の集合住宅(兵庫)、水の教会(北海道)、光の教会(大阪)、 '92セビリア万博日本館(スペイン)、大阪府立近つ飛鳥博物館、サントリーミュージアム[天保山](大阪)、ファブリカ・ベネトンアートスクール(イタリア)など。日本建築学会賞、芸術選奨文部大臣賞新人賞、毎日芸術賞、日本芸術大賞、アーノルド・ブルンナー記念賞、プリツカー賞などを受賞。文字通り世界が最も注目している建築家。モノトーンのドローイングや版画作品は世界各地の建築展などで高い人気を獲得しています。
安藤忠雄
「Scene(1)/Wall」
1984年 シルクスクリーン
Ed.150 作品サイズ38×38cm
サイン有
安藤忠雄
「Scene(2)/Cross」
1984年 シルクスクリーン
Ed.150 作品サイズ38×38cm
サイン有
安藤忠雄
"中之島プロジェクト(2)「アーバン・エッグ」"
1988年 シルクスクリーン Ed.55
作品サイズ105×175cm
サイン有
◆磯崎新
 1931年大分生まれ。54年東京大学大学院建築学博士課程修了。63年磯崎新アトリエ設立。代表作は、大分県立中央図書館、群馬県立近代美術館、つくばセンタービル(茨城)、ロサンゼルス現代美術館(アメリカ)、バルセロナ市オリンピック屋内競技場(スペイン)、秋吉台国際芸術村(山口)、静岡県コンベンション・アーツセンター、なら 100年会館(奈良)など。日本建築学会賞、文部省芸術選奨文部大臣賞新人賞、毎日芸術賞、アーノルド・ブルンナー記念賞、シカゴ建築賞、アメリカ建築家協会名誉賞、英国王立建築家協会名誉会員、ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展金獅子賞、スペイン文民功労勲章大十字賞などを受賞。日本人建築家としては最も版画制作に意欲的で、既に200点もの版画を制作、各種国際展や版画による個展なども多数開催しています。
 磯崎新は“建築家がなぜ版画をつくるのか”について、「いずれもその建築の基本コンセプトを抽象化し、視覚化してある。実際にできた建築は三次元的なものだし、内部に空間をかかえこんでいるから、その見えかたも体験のしかたも違っている。しかし、それが構想されるときには、手がかりとなるひとつの形式を導入せねばならない。版画で表現しようとしているのは、その部分である。だから、建築が、建築家の手からうまれでていくその瞬間のイメージの視覚化といっていい。それと同時に、建築家が自分の仕事をもういちど解釈しなおそうとしている部分もある」と述べています。
磯崎新
「闇1」
1999年シルクスクリーン Ed.35
作品サイズ58.3×77cm
サイン有


『磯崎新版画集 闇』
(なら 100年会館)
磯崎新
パラフォイス体育館/スペイン
1993年
水彩
作品サイズ16×16.5cm
サイン有
磯崎新
「影1」
1999年シルクスクリーン Ed.35
作品サイズ58.3×77cm
サイン有
磯崎新
"「フランク・ロイド・ライド/アリス・ミラード邸」"
1999年 銅版 Ed.15
作品サイズ15×10
サイン有
磯崎新
"「アイリーン・グレイ/ロクブリュヌE1027」"
1999年 銅版 Ed.27
作品サイズ10×15
サイン有
◆石山修武
 1944年生れ。早稲田大学教授。1975年幻庵で衝撃的なデビューを飾る。伝説的な左官職人をテーマに職人の手技を結集した伊豆の長八美術館で1985年吉田五十八賞。リアス・アーク美術館で1995年日本建築学会賞。1996年ヴェネチア・ビエンナーレに参加、震災の瓦礫が散乱する廃墟を出現させた作品により金獅子賞を受賞。
著書に「建築家、突如雑貨商となり至極満足に生きる」デジタルハリウッド出版局/「現代の職人」晶文社/「笑う住宅」筑摩書房/「秋葉原感覚で住宅を考える」晶文社/など。
 2004年より本格的に版画制作に着手、9月に開催した「ときの忘れもの」の個展のために30点の銅版画を制作した。
石山修武
「目玉の中の目玉の神」
2004年 銅版に手彩色 Ed.5
作品サイズ22×28cm
サイン有
石山修武
「登っても登っても混沌」
2004年 銅版に手彩色
Ed.5
作品サイズ28×22cm
サイン有
石山修武
「平安」
2004年 銅版に手彩色 Ed.5
作品サイズ40×33cm
サイン有
石山修武
「時間内特異点」
2004年 銅版 Ed.15
作品サイズ28×22cm
サイン有
石山修武
「透明になり切れない私」
2004年 銅版に手彩色 Ed.5
作品サイズ28×22cm
サイン有
◆マイケル・グレイヴス
 1934年アメリカ・インディアナポリス生まれ。シンシナティ大学建築学科卒。ハーバード大学建築学科修士課程修了後、ローマのアメリカン・アカデミーに学ぶ。
代表作は、ファーゴ・ムーアヘッド文化センター、ポートランド・ビル(オレゴン)、ヒューマナ・ビルディング(ケンタッキー)、百地浜の集合住宅(福岡)、御堂筋ミナミ・ビル(大阪)、アルテ横浜(横浜)ほか。ローマ・アメリカン・アカデミー会員、アメリカ建築家協会名誉賞、アーノルド・ブルンナー記念賞などを受賞。ポスト・モダンの旗手として現代の最も人気のある建築家。チャーミングな色彩とフォルムによる版画やドローイングは発表のたびに大きな反響を呼んでいます。
マイケル・グレイヴス
「Composite Landscape」
1981年 銅版 Ed.125
作品サイズ21.3×21.3cm
サイン有
マイケル・グレイヴス
「作品 7・84/2」
1984年 木版 Ed.150
作品サイズ27.7×42cm
サイン有
マイケル・グレイヴス
「作品 7・84/1」
1984年 木版 Ed.150
作品サイズ30.3×24cm
サイン有


会場風景



2005年2月18日(金)〜20日(日)
「現代美術オークションと書籍セール」

◆会期/2005年2月18日(金)〜20日(日) 12:00〜19:00
      *最終日のみは18:00で終了(入札締切り)
◆会場/ときの忘れもの

◆1960〜70年代を中心にした美術作品56点(油彩、水彩、日本画素描、写真、版画、オブジェ、立体、挿画本、他)を、オークション(入札)で頒布します。
オークション出品作品(55点)の図版、及び詳しいデータは2月11日からホームページに掲載します。リストご希望の方はお知らせ下さい。
◆同時に、日本有数の大コレクターだったK氏旧蔵の美術書、雑誌、カタログ、挿画本等のセールを行ないます。価格は100円から、10,000円まで、多数出品します。

★入札方法1/ホームページからのネット入札出品作品56点はホームページに2月11日(金曜、祝日)から掲載し、メール入札を2月11日から受け付けます。入札締切りは2月20日(日)18時。

★入札方法2/会場での入札
出品作品を2月18日(金)〜20日(日)の三日間ギャラリーに展示し、会場での直接入札を受け付けます。

★入札方法3/郵送、ファックスでの入札
郵送やファックスでの入札もできます。入札締切りは2月20日(日)18時必着とします。

★落札方法/最高金額を入札した方を落札者とし、最高入札金額と次点の入札金額との中間を落札金額とします。例えば、最高入札金額が100万円で、次点の方の入札金額が50万円だった場合、その中間の75万円が落札金額となります。リスクが少なく、安心して入札できるよう配慮した方法です。
落札金額には別途消費税と、梱包送料(実費)が加算されます。

◆オークション出品予定作家
靉嘔、安斎重男、池田龍雄、泉茂、磯辺行久、一原有徳、瑛九、大沢昌助、小熊秀雄、O Jun、恩地孝四郎、北川民次、北辻良央、木内克、草間彌生、駒井哲郎、菅井汲、芹澤金圭介、谷中安規、中山正、難波田龍起、難波田史男、西脇順三郎、萩原英雄、野田哲也、日和崎尊夫、藤沢典明、舟越保武、森村泰昌、三上誠、山口勝弘、横尾忠則、若林奮、ナム・ジュン・パイク、ジョン・ケージ、ボイス、アレン・ギンズバーグ、マース・カニングハム、マチス、カンディンスキー、ダリ、ソニア・ドローネ、ヴンダーリッヒ、ルイーズ・ニーベルソン、カルメル、ピカソ、ビュッフェ、ボナール、ユトリロ、マイヨール、セザンヌ、ヴィイヤール、モーリス・ドニ、ルーセル、シニャック、バロットン、レジエ、ミロ、マッソン、ムンク


「モノクロームの叙情」
会期=2005年3月4日(金)〜3月26日(土)  12時〜19時  日曜・月曜・祝日は休廊
出品=小野隆生、舟越桂、小川信治、若林奮、石山修武、マチス、ジャン・デュビュッフェ、駒井哲郎、難波田龍起、瑛九、恩地孝四郎、斎藤義重

今月は画廊コレクションの中から、モノクローム表現に卓越した12作家の油彩、水彩、版画などを展示します。

1)小野隆生『風で閉じられた窓』 2000年 油性テンペラ・麻布 80x100cm  サイン



2)石山修武『登っても登っても混沌』 2004年 銅版・手彩色 280×220mm 
  限定5部(手彩色、他に単色刷り限定15部あり)  サイン



3)難波田龍起「彫刻のある静物」 1949 油彩 51.6×64.0cm(F15) サイン


4)恩地孝四郎『失題』 1915年 素描・ペン 18.1×13.0cm 恩地邦雄のシール付


5)駒井哲郎『恩地孝四郎頌』 1974年 銅版 20.7×10cm 限定50部 サイン


6)小川信治『WITHOUT TOU  市民ケーン』 1995年 油彩  35×45cm サイン


7)舟越桂『砂の部屋』 1993年 リトグラフ 93×75cm  限定50部 サイン


8)若林奮『<52記>よりNo.28』 1988〜95年 銅版 限定52部 イニシアル・サイン


9)ジャン・デュビュッフェ『日蔭のエスプラナード』  1958年 リトグラフ  30×39.5cm EA サイン


10)瑛九『作品』 1936年 フォトデッサン 25.3×30.2cm 作品裏面にサインと年記


11)マチス『Pasiphae』より 1981年 リノカット 24.5×18cm 限定100部 


12)斎藤義重『作品(別冊文藝春秋107号カット)』 1969年 ペン・水彩 8×13cm 

展示風景


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