弊廊「ときの忘れもの」の2005年7月〜の企画展・常設展のご案内を申し上げます。 ◆第120回企画展 第16回瑛九展/開廊10周年記念 会期=2005年7月8日[金]〜7月30日[土] *日曜・月曜・祝日は休廊 ときの忘れものは1995年6月に開廊致しました。今年でちょうど10周年を迎えます。第一回企画展「白と黒の線刻 銅版画セレクション 長谷川潔・難波田龍起・瑛九・駒井哲郎」から数えて今回が120回目の企画展となります。その間、磯崎新、安藤忠雄、小野隆生、草間彌生らの個展を開催してきましたが、中でも私たちが1974年に美術界に入って以来、追い続けてきた瑛九(1911〜1960)を最も多く取り上げてきました。 技法やテーマ、時代など瑛九のさまざまな側面に光をあてて連続企画「瑛九展」を15回開催してきました。 開廊10周年記念として開催する今回の第16回瑛九展では、1936年に早くも抽象的表現を試みた初期油彩、さらに晩年の光り輝く油彩作品や、フォトデッサン、リトグラフなど代表作15点を出品します。 同時期(6月7日〜7月18日)に東京国立近代美術館では「瑛九とオノサト・トシノブ」の特集展示が開催されています。併せてご覧下さい。 ■瑛九(Q Ei えいきゅう 本名・杉田秀夫)………1911年宮崎生まれ。15歳で『アトリ ヱ』『みづゑ』など美術雑誌に評論を執筆。1936年フォトデッサン作品集『眠りの理由』 を刊行。1937年長谷川三郎らと自由美術家協会創立に参加。1951年デモクラート美術家 協会を結成、靉嘔、池田満寿夫、磯辺行久、河原温、細江英公ら若い作家に大きな影響 を与えた。油彩、フォトデッサン、銅版画、リトグラフなどさまざまな表現方法に挑み、 それぞれ独自の世界を生み出す。1960年48歳で死去。 1 「黄色い点」 1957 油彩 45.8×38(F8号) 2 「作品-B(アート作品・青)」 1935 油彩 28.5×23.8 3 「飛ぶ」 1957 リトグラフ Ed.50 40×27 4 「海の記念日」 1957 リトグラフ Ed.20 46.5×31.2 5 「海と少年」 1956 リトグラフ Ed.18 43×28.6 6 「いたずら」 1956 リトグラフ Ed.13 40×26 7 「蟻のあしあと」 1956 リトグラフ Ed.22 38×25 8 「着陸」 1957 リトグラフ Ed.20 46×30 9 「顔」 1957 リトグラフ Ed.20 45.5×30 10 「虫の生活」 1957 リトグラフ Ed.20 45.5×31 11 「過去」 1957 リトグラフ Ed.20 46.3×30 12 "フォト・デッサン型紙(1) フォト・デッサン作品名「森のつどい」" 1950 印画紙 45.6×56 13 フォト・デッサン型紙(2) 印画紙 45.5×56 会場風景 ■瑛九を知るための必読文献 1)本間正義監修『瑛九作品集』1997年 日本経済新聞社 204頁 執筆/五十殿利治・横山勝彦 編集/三上豊・綿貫不二夫 油彩・フォトデッサン・版画など代表作237点を網羅した決定版作品集。 2)山田光春著『瑛九 評伝と作品』1976年 青龍洞 480頁 瑛九の盟友だった画家山田光春が全国をまわり資料・作品を蒐集調査、克明に瑛九の生涯を追った伝記。 3)久保貞次郎編『瑛九画集』1971年 同刊行会 89頁 限定2,000部 遺族や生前から瑛九を支えたコレクター達の所蔵する油彩、フォトデッサン、版画など66点を収録。
◆第121回企画展 内間安王星展 会期=2005年8月19日[金]〜9月3日[土] *日曜・月曜・祝日は休廊 伝統木版にモダンな色彩感覚を吹き込み、ニューヨークで清新な作風を展開しメトロポ リタン、ホイットニ−など主要美術館に作品が収蔵されるなど、アメリカ美術界に確固 たる地位を築いた内間安王星(うちまあんせい)が死んで5年が経ちます。 内間は、戦前から戦中にかけ早稲田大学で建築を学び、油彩にも取組みますが、戦後、 油絵制作の社会的必然性に疑問を抱く中、恩地孝四郎に巡り合い版画の大衆性と創作版 画の意義に惹かれ、木版画の制作を始めます。 深い知性に裏付けられ、理論的に考え抜かれた構成により、リズム感に富んだ豊かな色 彩 表現を確立しました。代表作の「森の屏風 Forest Byobu Seeries」シリーズに展開 される、自律的に色彩が演じる“視覚ダンス”の世界は、版木ベニヤ8面、水彩絵具で 生漉奉書に手摺りで45度摺りを行うといった、浮世絵版画を思わせる手のこんだ技法の ため、限定部数は決して多くはなく、ほとんどが数部が刷られたのみでした。 渾身の力が注ぎ込まれたひとつひとつの作品は、作り手の死を経てもなお、透明で真っ直ぐな光を放ち続けています。 本展では日本時代の1960年代から、帰米後の80年代までの木版画代表作、銅版、水彩画など、20点を出品します。 ■内間安王星(うちま あんせい)………1921年アメリカに生まれる。父母は沖縄出身。 1940年早稲田大学に留学し建築を学ぶ。戦時中も日本に留まり、戦後は創作版画の恩地孝四郎に巡り合い抽象木版に志す。1955年東京・養清堂画廊で初個展。 1960年帰米、ニューヨークに住む。1962・70年グッゲンハイム・フェローシップ版画部 門で受賞。2000年 5月 9日79歳で死去。 1 『Hermit(仙人)』 1957年 木版 77.1 × 41.0 (cm) A.P. サインあり 2 『Spring Snow(新雪)』 1962年 木版 77.5 × 33.5 A.P. サインあり 3 『Time, Space-Horizontal』 1969年 木版 35.5 × 75.8 Ed.30 サインあり 4 『Space Poem B』 1974年 木版 38.0 × 39.0 A.P. サインあり 5 『BLUE TO WHITE:CASCADE』 1976-77年 木版 75.8 × 28.5 Ed.30 サインあり 6 『Twilight(COBALT BLUE)2ND STATE 』 1977年 木版 45.6 × 16.0 Ed.20 サインあり 7 『LIGHT ECHO』 1977年 木版 70.8 × 50.5 A.P. サインあり 8 『Window Nuance(Nude and Crimson)』 1979年 木版 70.7 × 46.3 A.P. サインあり 9 『FOREST BYOBU (AUTUMNAL BLEND)A』 1980年 木版 53.0 × 20.8 A.P. サインあり 10 『FOREST BYOBU (EARLY MORNING SUN)』 1980年 木版 49.4 × 80.5 A.P. サインあり 11 『FOREST BYOBU (TWILIGHT WEAVE)A』 1981年 木版 59.5 × 52.7 A.P. サインあり 12 『FOREST BYOBU(FRAGRANCE)』 1981年 木版 74.3 × 44.0 Ed.120 サインあり 13 『FOREST BYOBU(VERMILION BLEND)』 1981年 木版 53.0 × 38.0 A.P. サインあり 14 『ウェストチェスター(NOVEMBER)』 1982年 銅版 15.0 × 10.0 Ed.104 サインあり 15 『Space:Space Tranquility(Sphere)』 1972年 水彩 46.4 × 32.3 サインあり 16 『Impromptu(即興曲)A』 1968年 水彩 27.9 × 38.0 サインあり 17 『Impromptu(即興曲)B』 1968年 水彩 27.8 × 38.0 サインあり 18 『Impromptu(即興曲)D』 1968年 水彩 38.0 × 27.9 サインあり 19 『Impromptu(即興曲)F』 1968年 水彩 27.9 × 38.0 サインあり 20 版画掌誌「ときの忘れもの」第4号 A版 2001年 32.0 × 26.0 cm 『Forest Byobu with Bouquet』 1979年 木版 19.7 × 26.5 Ed.35 (2001年後刷り) 『Rose One(B)』 1982年 銅版 11.7 × 9.0 Ed.135 (2001年後刷り) 他に北郷悟の銅版画3点入り 21 版画掌誌「ときの忘れもの」第4号 B版 2001年 32.0 × 26.0 cm 『Rose One(B)』 1982年 銅版 11.7 × 9.0 Ed.135 (2001年後刷り) 他に北郷悟の銅版画1点入り 展示風景 |