弊廊「ときの忘れもの」の2005年12月〜の企画展・常設展のご案内を申し上げます。 舟越保武・難波田龍起展 12月16日[金]〜12月28日[水] 大理石やブロンズにより、厳しくまた清冽な人間像を造形し、日本の具象彫刻に一時代を画した舟越保武。戦前から日本の前衛美術運動に参加し、詩的な抽象絵画を制作した難波田龍起。二人が1970年代から80年代にかけて制作した版画を展示します。年末の何かと慌ただしい時期ではありますが、静謐な二人の世界をご堪能下さい(*日・月・祝日は休廊)。 ■舟越保武(ふなこし やすたけ)1912年岩手県生まれ、東京美術学校卒業、新制作派協 会の創立に参加。独学で大理石の直彫り彫刻をはじめる。戦後、カトリックの洗礼を受 け、信仰に支えられた崇高で清潔な人間像を作り続けた。58年「長崎二十六殉教者記念 像」に着手し、5年の歳月をかけて62年に完成、高村光太郎賞を受賞。大理石やブロンズ による具象彫刻で中原悌二郎賞、芸術選奨文部大臣賞などを受賞。80年前後から版画制 作にも取り組み、石版(リトグラフ)や銅版に秀作をのこしたが、87年脳硬塞に倒れた。 車椅子による不自由な体をおして左手だけで制作を再開し、99年には文化功労者として 顕彰された。香気あふれるエッセイでも知られ著書「巨岩と花びら」は日本エッセイス ト・クラブ賞を受賞。2002年2月5日死去、奇しくも長崎で26聖人が昇天した日だった。 ■難波田龍起(なんばた たつおき)1905年北海道旭川生まれ。1923年9月関東大震災、 震災直後の夜警当番で高村光太郎の面識を得る。1928年光太郎に川島理一郎を紹介され、 川島の主宰する絵画研究会の金曜会に入る。この頃ルドンに傾倒。1929年第4回国画会 展に初入選。1942年第1回難波田龍起個展(銀座・青樹画廊)開催。1960年アーサー・ フロリーより吉田遠志のアトリエで指導を受け、石版画を制作する。1978年現代版画セ ンターより銅版画集『街と人』『海辺の詩』を発表。この頃銅版画を集中して制作する。 1982年「形象の詩人 難波田龍起展」が北海道・旭川美術館で開催される。1987年東京 国立近代美術館で「今日の作家―難波田龍起展」が開催される。1988年第29回毎日芸術 賞を受賞。1994年「難波田龍起展」が世田谷美術館で開催される。1995年ときの忘れも のより「難波田龍起銅版画集 古代を想う」を刊行。1996年文化功労者に選ばれる。 1997年死去。
■舟越保武 ■難波田龍起
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