第298回 ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 会期=2018年4月10日[火]―4月28日[土] 11:00-19:00※日・月・祝日休廊 |
数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビー。ときの忘れもので2回目となる写真展を開催します。ウィロビーが1950-60年代に撮影した二大女優、オードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローの作品約15点をご覧いただきます。
ウィロビーは、映画会社や雑誌社の社員ではなく、世界中のマスコミに資料を提供する大手スタジオが雇った「スペシャル」とよばれる初のフリーの写真家で、『ライフ』や『ルック』など大手雑誌と映画製作者の仲介者でもあり、ハリウッド全盛期の1950年代初期にこの特殊な職種を最初に開拓したパイオニアでした。
1954年に映画「スタア誕生」で撮影したジュディ・ガーランドのポートレート写真が『ライフ』誌の表紙を飾り、一躍名を馳せます。以降、オードリー・ヘプバーンの出演作のほか、「バージニア・ウルフなんかこわくない」「卒業」「ローズマリーの赤ちゃん」「カンカン」「チップス先生さようなら」など100を越える映画のメイキング写真を撮影しました。
ウィロビーは、映画製作の歴史的な時代の記録において、理想的なピクチャー・ストーリーを組み込む才能がありました。また、舞台の裏でも、数多くの俳優やディレクターたちの撮影の合間に見せる無防備な、あるいはドラマ性の高い瞬間を捉え続けました。特にオードリーとは家族ぐるみの付き合いがあり、華やかな世界のオードリーとはまた違った素の顔を写真に垣間見ることができます。
『ライフ』、『ルック』、『ヴォーグ』、『ハーパース・バザー』など7つの雑誌の映画ページを並行して担当し、50年代から70年代初頭までの約20年間に彼の作品が印刷物に掲載されない週はなかったといいます。
オリジナルプリントとエステートプリントの違いについて
今回2種類のプリントを展示しています。
オリジナルプリントはボブ・ウィロビーが生前プリントした銀塩写真で、プリントした日の記録も残っています。エディション部数は全て200部となっていますが、どの作品も200部プリントしたことはなく、殆どの作品は2〜3部、人気のある作品でもせいぜい2〜30部です。基本的には12x16インチの印画紙を使用していますが、他に16x20インチのプリントも存在しそれらは大体がエディション部数3部です。
オリジナルプリントには全てに直筆のサインかイニシャルが記入されています。
エステートプリントは、ボブ・ウィロビー没後にオリジナルのネガからプリントされたものです。ボブ・ウィロビーの遺族が監督のもと、ロサンゼルスのThe Iconの美術部でオリジナルのネガよりプリントされています。16x20インチのエディションが25部、30x40インチのエディションが12部、その他最大40x60インチもあります。エステートプリントには遺族がサインとエディション番号を記入しています。
技法はアーカイバルピグメントプリントと呼ばれるインクジェットプリント印刷です。顔料インクを使用し、写真の長期保存を可能にした技法と言われています。
■ボブ・ウィロビー
Bob WILLOUGHBY
1927年アメリカ・ロサンゼルスで生まれる。12歳のときに父からもらったカメラで写真を撮り始める。高校卒業後、ハリウッドのカメラマンたちの助手として修業し、かたわらジャズを対象に写真修業をした。南カリフォルニア大学の夜間部で写真を学び、専門学校でデザインを学習。やがて演劇や文化イベントを手がけるようになり、雑誌のために映画関連の撮影が増えた。
オードリー・ヘプバーン出演作のほか、「地上より永遠に」「スタア誕生」「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」「卒業」など30年あまりの間に120本ほどの映画でスチル写真を撮り、『ライフ』『ヴォーグ』など世界的な雑誌に提供している。写真集として、『プラチナの時代』(1974)、『ロサンゼルスのジャズ』(1990)、『ハリウッド・スペシャル』(1993)などがある。彼の写真は、数多くの国の美術館に展示されている。2009年12月フランス・ヴァンスに永逝(享年82)。
展示風景