第305回 光嶋裕介新作展―幻想都市風景 GOLD 会期:2018年11月8日[木]―11月18日[日] 11:00-19:00※会期中無休 |
4回目となる光嶋裕介新作展を開催します。
幻想都市風景を描き続ける光嶋裕介は、2014年より度々越前和紙の本場・福井県武生に赴き、描くための和紙を自ら漉いています。今年からその和紙に箔画作家・野口琢郎さんが箔押ししたコラボレーションによる幻想都市風景を多数制作。畳一畳分の和紙に描いた大作を含め新作13点をご覧いただきます。
11月17日(土)17時より、ゲストに中谷礼仁さん(建築史、歴史工学(アーキオロジー)、早稲田大学教授)を迎えてギャラリートークを開催します。※要予約、参加費1,000円
作家在廊予定日: 11月08日(木)、11月09日(金)、11月10日(土)、11日(日)、17日(土)、18日(日)
【光嶋裕介新作展《幻想都市風景GOLD》に向け】
このたび、ときの忘れもの画廊にて、二年ぶり四度目の個展を開催させていただく運びとなりました。本当にありがとうございます。
建築家として空間を模索する壮大な旅は、なにも建築を設計するばかりが実践とは限りません。設計はもちろんのこと、身体を使って考える、つまり、手を動かしてドローイングを描くことは、私にとって欠かすことのできない大切な営みです。四年間のドイツ・ベルリンでの建築武者修行を終え、「幻想都市風景」と題して自分の想像する世界を描きはじめたのは、二〇〇八年でした。あっという間に、十年という月日が経ちました。いまだ「何故描くのか?」という問いに対して、はっきりとした答えをみつけられていません。がしかし、「わからない」から描く。知りたいから描くのです。まだ誰も見たことのない風景が、見たいから。
二〇一二年の初個展は、幻想都市風景を彫る、銅版画のシリーズ。
二〇一四年は、幻想都市風景のシルクスクリーンを制作。
二〇一六年は、描くための和紙を自ら漉くということに挑戦。
今年も福井県武生にて、自ら漉いた和紙を中心に、京都在住の箔画家である野口琢郎氏と協働し、金箔やプラチナ箔を部分的に押してもらいました。おかげさまで、和紙や画用紙に独特な表情がうまれ、そこから想像を膨らませて、幻想都市風景を描き繋げていきました。建築世界の多様な表現の可能性を拡張したいのだ。
昨年、ときの忘れもの画廊は、青山から駒込に移転しました。建築家の阿部勤氏が設計したLAS CASASのストイックな空間と、私の描いた幻想都市風景がどのように響き合うのか、今から楽しみでなりません。
一冊の書物が読者によって完成するように、一枚のドローイングも、見てもらい、購入してもらってはじめて生きられるものとなるのです。その意味において、画廊の壁に掛けられたドローイングは、「仮の姿」と言えるかもしれません。この個展がどのようにして新しいご縁を紡ぐことになるのか、金箔によって更なる輝きを獲得した《幻想都市風景》の世界をこの目で確かめてください。皆さまのお越しを心よりお待ちしております(会期中無休、11/10-11,17-18の両週末は在廊予定)。
光嶋裕介(建築家)
建築家。一級建築士。1979年米国ニュージャージー州生。1987年に日本に帰国。以降、カナダ(トロント)、イギリス(マンチェスター)、東京で育ち、最終的に早稲田大学大学院修士課程建築学を2004年に卒業。同年にザウアブルッフ・ハットン・アーキテクツ(ベルリン)に就職。2008年にドイツより帰国し、光嶋裕介建築設計事務所を主宰。神戸大学で客員准教授。早稲田大学などで非常勤講師。2011年に処女作となる内田樹先生の凱風館を設計し、完成と同時に合気道入門(二段)。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの全国ツアーの舞台デザインを担当。
著作に、『幻想都市風景〜建築家・光嶋裕介ドローイング集〜』(羽鳥書店、2012年)、『みんなの家。〜建築家1年生の初仕事〜』(アルテスパブリッシング、2012年)、『建築武者修行〜放課後のベルリン』(イースト・プレス、2013年)、『死ぬまでに見たい世界の名建築なんでもベスト10』(エクスナレッジ、2014年)、『これからの建築〜スケッチしながら考えた』(ミシマ社、2016年)、『建築という対話〜僕はこうして家をつくる』( 筑摩書房「ちくまプリマー新書」、2017年)、最新刊に『ぼくらの家。9つ
の住宅、9つの物語』(世界文化社、2018年)がある。
展示風景(タケミアートフォトス撮影)