第317回 オノサト・トシノブ展
2020年1月10日[金]―2月1日[土]  11:00-19:00※日・月・祝日休廊



ときの忘れものは、2020年3月末に香港で開催されるアートバーゼル香港2020にて「オノサト・トシノブ展」を開催します。
香港に作品を輸送する前に出品作品の一部を公開し、油彩、水彩、版画を17点ほどご覧いただきます。
是非ご覧いただければ幸いです。

オノサト・トシノブ(1912〜1986)は、山口長男(1902〜1983)、吉原治良(1905〜1972)、瑛九(1911〜1960)、菅井汲(1919〜1996)らとともに日本を代表する抽象画家で、戦前から親友の瑛九とともに前衛美術のパイオニアとして活躍しました。1935年二科展初入選と同時に前衛的傾向の若手作家と黒色洋画展を結成。1938年自由美術家協会会員となります(〜1956年、以後無所属)。1940年制作の作品《黒白の丸》(東京国立近代美術館所蔵)は当時試みられることの少なかった構成主義的内容をもつ作品として注目されました。1941年第2次世界大戦に一兵士として従軍し、シベリア抑留を経て1948年帰国。1953年瀧口修造の推薦でタケミヤ画廊で初個展を開催。1954年頃から円形が主題となり、やがて朱、黄、緑、紺の4色を基調として、画面全体を覆うモザイク風の方形群から円形が浮かびあがる幾何学的抽象様式を確立。これを「べた丸時代」と呼び、1959年まで続きました。1960年に「べた丸時代」は終わり、大きな円(丸)を精緻な正方形で分割し、埋め尽くす「円の分割時代」が始まります。これらの作品が海外でも高く評価され、1961年にグレス画廊(アメリカ、ワシントンDC)で海外初の個展開催。翌年志水楠男という伝説的なギャラリストが主宰した南画廊で個展を開催し、以後志水の尽力により、海外に作品が多く売られていきます。1963年第7回日本国際美術展で最優秀賞(グランプリ)を受賞し、一躍現代美術の最前線に躍り出ました。1964年にグッゲンハイム国際賞展に出品し、同館所蔵となります。1964年と66年のヴェネチア・ビエンナーレに日本代表として出品しました。オノサトはアトリエをほとんど一歩も出ず、時間を忘れて終日絵筆を握る孤高の生活を送り、多くの油彩・水彩を描き続けました。国内では東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館、東京都現代美術館など多くの美術館に作品が収蔵されています。




展示風景




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