ときの忘れものが選んだ作家三人のグループ展を開催します。
根岸文子は美大卒業後スペインに渡り、ユーモアに溢れる明るい作風の作品で、今回は絹に描いています。
宇田義久は川の流れや水の循環など地球環境という壮大なテーマを「水槽」というシリーズで探求しています。
釣光穂は手びねりという陶芸の技法で、まるで編み物で編んだようなオブジェを制作しています。
作風も色彩も三者三様のユニークな作品をご覧いただきます。
根岸文子 "jardin secreto IZ" 2021年 絹にアクリル画 60×33cm サインあり |
根岸文子 "jardin secreto DR" 2021年 絹にアクリル画 60×33cm サインあり |
根岸文子 "無題IZ" 2021年 絹にアクリル画 60×33cm サインあり |
宇田義久 "aquarium 21-2" 2021年 パネル・アクリル・ウレタンニス 91×113cm サインあり |
宇田義久 "aquarium 21-1" 2021年 パネル・アクリル・ウレタンニス 160×91cm サインあり |
宇田義久 "水位 21-2" 2021年 パネル・アクリル・ウレタンニス 68×18cm サインあり |
宇田義久 【ステートメント】
「aquarium」 (水槽)というタイトルをつけた作品のシリーズは、夏に冷房無しでは生きることが厳しくなってきた私たちと、水質や水温などの環境を管理した水槽でしか生きられない、熱帯魚との似た境遇を表しています。すでに滅んでしまったのか、画面を満たす水には魚はいません。透明で澄んだ美しい水は、微生物も生きられない毒水の時もあります。
海から運ばれてきた雲は、雨となって地上に水をもたらし、多くの生物を育んできました。これは人間が誕生する前から繰り返されてきた、自然の大きなシステムのひとつです。しかし、人類が地球環境を侵し続ける現在、多くの生物が危機に瀕していると言います。自然の恩恵を受けながらも、それを侵さなければならない、そんな矛盾の中で私たちは生きています。温暖化や異常気象に脅かされる近年、地球が私たちを拒絶しているのかと感じる時があります。私がここ数年「水」や「気象」をテーマにした作品を作っているのは、そんな寂しい思いが発端かもしれません。
■宇田義久 UDA Yoshihisa
1966年福島県会津若松市に生まれる。1992年岩手大学特設美術科卒業。岩手県盛岡市在住。
1991年 「磁気状況シリーズ」/ギャラリー彩園子(岩手・盛岡市 1995、2000、2008年)
1993年 個展/ギャラリー彩園子(岩手・盛岡市 1994、2014、2016年)
1996年 岩手県芸術選奨受賞、個展/盛岡クリスタル画廊(岩手・盛岡市 1999、2002年)
2003年 VOCA展/上野の森美術館(東京・上野)、ホルベインスカラシップ
2004年 個展/諄子美術館(岩手・北上市 2006、2010年)、個展/足利ギャラリー(福島・会津若松市)
2005年 N.E.blood21 Vol.17宇田義久展/リアス・アーク美術館(宮城・気仙沼市)
2007年 「奥の若手道」展 /リアス・アーク美術館ほか(宮城、北海道、山形)
2008年 石神の丘アートウォーク2008/石神の丘美術館(岩手・岩手町)
2009年 福島の新世代2009/福島県立美術館(福島・福島市)、多彩な表現の中で展/石井県令邸(岩手・盛岡市)、はじめる視点・博物館から覚醒するアーティストたち/福島県立博物館
2011年 センダイモリオカアート/宮城県立美術館・県民ギャラリー、「2011.3.11〜展」/諄子美術館(岩手・北上市)
2012年 センダイモリオカアート/石井県令邸(岩手・盛岡市)
2013年 個展/turn around(宮城・仙台市)
2014年 BOX ART展/リアス・アーク美術館(宮城・気仙沼市)、国民文化祭秋田市/秋田県立美術館
2015年 個展/萬鉄五郎記念館 八丁土蔵ギャラリー(岩手・花巻市)、個展/MORIOKA第一画廊(岩手・盛岡市 2017年)
2018年 宇田義久展 works 1999-2018/もりおか啄木・賢治青春館(岩手・盛岡市)
2020年 宇田義久展 Aqua/石神の丘美術館(岩手・岩手町)
釣光穂 《マカロニ yel》 2020年 陶土、磁土、顔料 D34×W47×H32cm サインあり |
釣光穂 《マカロニ blu》 2020年 陶土、磁土、顔料 D28×W28×H37cm サインあり |
釣光穂 《キンタローマリリン yel》 2020年 陶土、磁土、顔料 D16×W9×H9cm サインあり |
釣光穂 【ステートメント】
日常にあるものやつくる行為を尺度を変えて見つめなおした表現を探求しています。
やきものの原始的な技法であるひもづくりを応用し、土を細く伸ばし撚り合せて積み上げて成形しています。
制作の時間の蓄積で日常の記憶を留め、明るい色彩を与えてやきものの身近で不思議なイメージに繋げようとしています。
普遍的なつくることの喜びや日常の楽しさを感じていただければ幸いです。
■釣光穂 TSURI Mitsuho
1991年兵庫県生まれ。2014年京都市立芸術大学美術学部工芸科陶磁器専攻卒業。2016年京都市立芸術大学大学院 美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器卒業。2017年金沢卯辰山工芸工房入所。現在 在籍中。
主な展覧会:個展2016年「うつわの標本」KUNST ARZT/京都,グループ展2017年「ルンパルンパKanazawa Newly arrived Art&Craft 2017」青山スパイラル/東京,「ウォーホル美術/Warhol Art」KUNST ARZT/京都,2018年秋元雄史監修「もう一つの工芸未来派」銀座和光/東京, その他グループ展,国内のアートフェア,ワークショップなど多数参加
受賞歴:2016年「京都市立芸術大学作品展」奨励賞,2017年「第7回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の<今>」菊池寛実記念智美術館 奨励賞,2019年「金沢市工芸展」NHK金沢放送局長賞,「金沢卯辰山工芸工房研修者作品展」卯辰山工芸工房賞。
展示風景 ※画像をクリックすると拡大します。