●一日だけの特集展示/加納光於 2024年6月5日(水) 11:00-19:00 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。 |
版画の実験的な表現を追究した加納光於による、インタリオ技法(図像の部分だけを凹ませた凹版)の《星・反芻学》や、レリーフプリント、メタルプリント、リトグラフを特別頒布します。
加納光於の出品作品については5月25日ブログ「栗田秀法 現代版画の散歩道」第1回をお読みください。
■加納光於 Mitsuo KANO
1933年東京生まれ、病弱のため十代後半を療養生活ですごす。家庭でフランス近代詩を耽読したことで言葉に対する感性が磨かれたようである。これは、のちの作品タイトルに如実に表れている。生物学者の助手を勤め、微生物の形態に引かれ銅版画を独学ではじめる。1953年ごろに瀧口修造を知り、1956年タケミヤ画廊(東京)で初個展。以後内外の版画展に参加する。
加納の制作の特徴のひとつが「連作」である。ある期間ひとつの手法による作品を多数制作し、ある時点でその成果を発表すると、また新たな方向を模索し始める。そして最大の特徴が、素材と作品の関係の探求である。
版の素材として使用していた亜鉛合金を1964年よりガス・バーナーで焼いて版そのものを作品とした『MIRROR 33』と、『ソルダード・ブルー』の連作で新しい技法による作品を開拓し、1966年『半島状の!』シリーズから後期ルドンのように色彩が加わった。
1969年ころから函形立体のオブジェ作品を制作。版画のほうもコラージュやフロッタージュを援用していっそう多様な展開をみせ、画集形式で発表した『葡萄弾−遍在方位について』(1973)と『PTOLEMAIOS SYSTEM 翼・揺れる黄緯へ』(1977)はその成果である。
1976年よりデカルコマニーを利用したリトグラフ連作『稲妻捕り』に没頭、その完成後一転して油彩画に興味をむけ1980年油彩画のはじめての作品群を個展『胸壁にて』として発表した。戦後日本美術思潮の孤高の先導者の一人。