第370回 杣木浩一×宮脇愛子展 2024年8月20日(火)〜8月31日(土) 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。 |
杣木浩一と彫刻家の宮脇愛子の作品をご覧いただきます。
杣木浩一は東京造形大学で成田克彦に学びます。合板で立体をつくり、その上にシナベニヤを張りウレタン塗装を重ね、表面研磨するという工程によって、独特の質感をもつ、反りと膨らみのある表現をしています。1998年に高木修らとABST(抽象)を結成し、定期的に展覧会を開催してきました。また、自身の作品を制作する傍ら、1981年から宮脇愛子のアシスタントを務めました。
宮脇愛子は阿部展也、斎藤義重に師事し、油彩制作を始めます。1959〜66年欧米各地に滞在して制作活動を行ないました。1966~70年代真鍮、石、ガラスを用いた立体作品を制作。1980年からの代表的な彫刻作品《うつろひ》は、ピアノ線を使って空にドローイングを描くというコンセプトで、モンジュイック・オリンピック広場(バルセロナ)、ラ・デファンス(パリ)、奈義町現代美術館など世界各地にコレクションされています。
晩年は車椅子での不自由な闘病生活にもかかわらず創作意欲は衰えず、ふたたび油彩や墨絵ドローイングを制作し続けました。
本展では深い関わりのあった二人の作品を約25点展示し、展覧会図録を刊行します。
●作家在廊時間
■杣木浩一 Koichi SOMAKI
1952年新潟県に生まれる。1979年東京造形大学絵画専攻卒業。1981年に東京造形大学聴講生として成田克彦に学び、1981〜2014年に宮脇愛子アトリエで制作の手伝いを行なう。2002〜2006年には東京造形大学で非常勤講師を務めた。
1979年真和画廊(東京)での初個展から、1993年ギャラリーaM(東京)、2000年川崎IBM市民文化ギャラリー(神奈川)、2015年ベイスギャラリー(東京)など、現在までに20以上の個展を開催。
主なグループ展に2001年より現在まで定期開催中の「ABST」展、1985年「第3回釜山ビエンナーレ」(韓国)、1991年川崎市市民ミュージアム「色相の詩学」展(神奈川)、2003年カスヤの森現代美術館「宮脇愛子と若手アーチストたち」展(神奈川)、2018年池田記念美術館「八色の森の美術」展(新潟)など。制作依頼、収蔵は1984年 グラスアート赤坂、1986年 韓国々立現代美術館、2002 年グランボア千葉ウィングアリーナ、2013年B-tech Japan Bosendorfer他多数。
■宮脇愛子 Aiko MIYAWAKI
1929年東京生まれ。1952年日本女子大学文学部史学科卒業。阿部展也、斎藤義重に師事。1957-66年欧米各地に滞在し、制作活動を行なう。真鍮、石、ガラスを用いた立体作品のほか油彩や墨絵を制作。代表的な彫刻作品《うつろひ》は、モンジュイック・オリンピック広場(バルセロナ)、ラ・デファンス(パリ)、奈義町現代美術館など世界各地にコレクションされている。1998年神奈川県立近代美術館で回顧展、国内外で多数開催。晩年は車椅子での不自由な闘病生活にもかかわらず創作意欲は衰えず、油彩や ドローイングを制作し続けた。2014年8月20日84歳で永逝。
宮脇のシルクスクリーンや銅版画からは繊細で静かな華やかさが漂う。マン・レイが撮影したモナリザのポーズの若き日の宮脇の肖像写真は、夫君の磯崎新のデザインでシルクスクリーンのポスターになった。しなやかな金属ワイヤによる[うつろい]がもたらす軽やかで爽やかな空間のゆらぎは、宮脇の独創で、自然と人間の感性が共鳴する新たな現代美術の可能性を人々に訴えかけている。
展示風景 ※画像をクリックすると拡大します。