第372回 松本竣介展 2024年10月4日(金)〜10月19日(土) 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊 ※ギャラリートークが開催される10月5日と19日は17時以降は予約者以外入場できません。あらかじめご了承ください。 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。 |
ときの忘れものでは5回目となる「松本竣介展」を開催します。本展では松本竣介(1912-1948)が1940年9月に制作した油彩《構図》と、参考出品として油彩《自画像》《Y市の橋》を中心に、デッサンを合わせて13点ご覧いただきます。
今回のメイン作品となる《構図》は、絵の具を自由に塗り重ねた上に、人や線路、建物を黒い線で簡略に描かれています。〈都会〉や〈郊外〉シリーズの終盤に生まれた作品であり、具体的なモチーフから抽象的な形態へと向かう思考の跡が垣間見えます。
1940年以降、一連の〈構図〉シリーズを制作しており、本作はその中でも最初に描かれた油彩《構図》です。「松本竣介・麻生三郎・舟越保武 油絵・彫刻展」(1946年11月)にも出品されました。
参考出品の《自画像》は、「モンタージュ」と称された複合画法で独自の画風を確立していた頃、それまでとは全く異なるリアリズム絵画として完成させました。《Y市の橋》は、戦中に繰り返し描いた横浜駅近くの月見橋がモチーフとなっている代表作です。
今年から来年にかけて、碧南市藤井達吉現代美術館(2024 年7 月20 日〜9月8日)やアサヒグループ大山崎山荘美術館(2025年1月4日〜4月6日)で「松本竣介展」が開催されます。
本展に合わせて、展覧会カタログを刊行予定です。カタログには、大谷省吾先生と弘中智子先生による原稿を収録します。
ギャラリートーク(抽選申込み、参加費1,000円)
※参加受付は締め切りました。
※ギャラリートークが開催される10月5日と19日は17時以降は予約者以外入場できません。あらかじめご了承ください。
●10月5日(土)17時〜18時半
講師:大谷省吾(東京国立近代美術館副館長)
●10月19日(土)17時〜18時半
講師:弘中智子(板橋区立美術館学芸員)×松本莞(竣介次男)
■松本竣介 Matsumoto Shunsuke
松本竣介(旧名佐藤俊介)は1912年東京に生まれ、2歳のときに岩手に移り少年時代を盛岡で過ごす。松本姓となるのは1936年に松本禎子と結婚してからである。
盛岡中学の入学後に聴力を失い、画家を志す。同級生には舟越保武がいる。1929年中学を中退し、上京、太平洋画会研究所に通う。1935年前衛グループNOVAの同人となり、二科展に初入選。翌年松本禎子と結婚し、二人で月刊の随筆雑誌『雜記帳』を創刊する(綜合工房刊、14号で廃刊)。同誌には林芙美子、難波田龍起、高村光太郎、萩原朔太郎らが文章を、藤田嗣治、鶴岡政男、麻生三郎らがデッサンや口絵を寄せた。1940年銀座の日動画廊で初個展を開催。
1941年美術雑誌『みづゑ』1月号に掲載された座談会記事「国防国家と美術」に反論し、「生きてゐる画家」を投稿、同誌4月号に掲載された。同年盛岡・川徳画廊で「舟越保武・松本俊介二人展」を開催。戦時中は1943年靉光や麻生三郎、寺田政明ら同志8名で新人画会を結成し、第3回展まで開催した。戦後1946年美術家組合を提唱、戦争に疲れ沈退した全日本美術家の提携再起を促した。1947年自由美術家協会に新人画会のメンバーと共に参加し、翌1948年毎日新聞主催の連合展に「彫刻と女」「建物」を出品、これが絶筆となり、僅か36歳の短い生涯を終えた。
展示風景 ※画像をクリックすると拡大します。