ギャラリー新人日記

2006年6月

ギャラリー新人日記 6月22日

白井版画工房の教室に行ってきました。先週も先々週もうっかり忘れてしまっていたので(うっかりは禁物ですね・・・)、今日こそは!と、教室の30分前にアラームをセットしました。よく綿貫さんがやっている時を忘れない技です。でもアラームは鳴りませんでした。セットの仕方を間違えたみたいです。
ディープエッチングをすることにしました。その名の通り腐食銅版。深さを出するためには、腐食を避ける部分にグランドを塗って止め、何時間も腐食液に浸けて腐食しなければなりません。インクを詰めて拭き取り、刷ってみると、エッジの部分にインクが溜まり、それが太い輪郭として現れるようです。
モチーフは、以前机に転がっていたピーナツの殻を何気なくデッサンしていた紙があったので、これを版画にすることにしました。「これ、ピーナツ?」と確認されるので、ディープエッチング技法を使用することにより、一目でピーナツとわかってもらえるかもしれません。ピーナツ部分だけをグランドで止めて、深く腐食するために3〜4時間腐食液に浸けました。腐食されるのを待っている間に次の作品にする絵を描いていると、どうやら私はキモチワルイ絵を描いていたらしく、はっきりそう言われた・・・ので、机に転がっていたキャンディーを描きました。デッサンをしているとつい夢中になります。高校3年生の時、デッサンにハマった時期が3ヶ月くらいあって、学校から帰ると毎日夢中で描いていたあの頃を思い出し、懐かしくなりました。


ギャラリー新人日記 6月21日 常設展

晴れた日に撮影したかったのですが、晴れる日を待っていると展示が変わってしまいそうなので、曇り空の本日撮影しました。
昨日、綿貫さんがトンカチを持ってせっせと常設展の展示をしていました。

1 常設3 常設
<左写真>内間安王星、山口長男 <右写真>難波田龍起



4 常設5 常設
<左写真左から>PAUL KLEEマイケル・グレイヴス
<右写真、右から>石山修武、石山修武



6 常設7 常設
<左写真左から>石山修武、磯崎新駒井哲郎 
<右写真、左から>草間彌生、森村泰昌


8 常設
<右から>草間彌生瑛九

ギャラリー新人日記 6月14日

14時にシルクスクリーン刷り師の石田了一さんと綿貫さんと私は、草間彌生スタジオに企画書を持って行った。新しく建てたという事務所は、南瓜の形をした「Dots」のファサードではなく、コンクリート打ちっぱなしで一面は大量のガラスブロックが使用され、エントランスは真っ赤な扉というクールな建物だった。中に入ると3階まで吹き抜けており、ガラスブロック部分からは光がいっぱい射し込み明るかった。エレベータが付いており、それで3階まで上がった。棚には「Dots」や「Nets」の草間彌生グッズがいっぱい陳列されてあり、そのビビットなカラーを見ると目の筋肉が動き脳を働らかせるのか、元気が湧いてきて、気持ちが明るくなる。草間彌生スタジオの高倉さんに、綿貫さんが作成した企画書を提示して、企画案を説明した。石田さんは10種類くらい試しに刷ってきたという「Dots」や「Nets」の試刷りを持ってきていた。話のやりとりを聞いていて、私もすぐにイメージできた。とても冷静に話すと、皆が同じものをイメージできるほど明確に伝わるものなんだ・・・と、断片的な話し方をしてしまう私は、隣で聞いていた。
ベネッセ アート サイト直島」の岸壁のそばにある草間彌生さんの『南瓜』は、重りで抑えているにも関わらず、ときたま瀬戸内海の波や風にさらわれるそうだ。嵐のときは学芸員が『南瓜』を屋内に移動させているそうだが、色が落ちてきたのでこの前新しいものと交換したという話を聞いた。交換した『南瓜』はメルセデスベンツのトップコートと同じものでコーティングしているという貴重なお話しも聞くことができた。草間彌生さんに会えなかったのはとても残念だが、ユニクロ×草間彌生のTシャツにサインを入れてくださいと、高倉さんに託した。
夕方、久しぶりに植田実先生が来廊された。仕事を終え、植田先生と綿貫さんと令子さんと「そのそ」にご飯を食べに行った。海外旅行の話しいっぱいしてもらい、ますます海外行きたくなってきた。

ギャラリー新人日記 6月13日

先日アポを取った本の問屋さんに出掛けた。神田川を渡り、しばらく歩くと大量の本を運んでいるフォークリフト者を見つけたので迷わず着くことができた。担当者を呼んでもらい、『トリシャ・ブラウン――思考というモーション』やときの忘れもの出版物を見てもらった。話を聞き、条件を呑むと「まずアマゾンで『トリシャ・ブラウン――思考というモーション』を販売できる状態にしましょう」と、扱ってくれることになった(ホッ)。画像や内容説明を作成して、来週あたりにはアマゾンで売れる状態にするつもりです。
ところで、ときの忘れものに入社して今日でまる1年になりました。

ギャラリー新人日記 6月10日

今日は、7月21日から開催することが決定した日和崎尊夫展のDMとプレスリリースの原稿、出品作品リストを作成した。来月の展覧会は、昨年の日和崎尊夫展では見られなかった貴重な初期の作品などがあるので新鮮だ。

ギャラリー新人日記 6月9日

ときの忘れものは、いろいろ出版物を刊行しているのだが、今までは直販しかやっていなかったので、本の取次をしてくれる問屋さんに電話をして、取次のお願いの電話をした。
これも『トリシャ・ブラウン――思考というモーション』を売るため。ISBNがある刊行は1冊しかないと答えると渋られたが、その本を見てみましょう・・・と、来週の火曜日に会ってくれることになった。

ギャラリー新人日記 6月8日

明日から始まる<フォーゲラーとヴォルプスヴェーデ展>の展示作業を雄高さんと三浦さんが行なった。私は、展示用のハインリヒ・フォーゲラー、ハンス・アム・エンデ、フリッツ・オーヴァーベック、フリッツ・マッケンゼンの略歴を作成した。何度も略歴を校正しているので、四人の人生が何となく把握できた。ヴォルプスヴェーデに最初に行ったのはフリッツ・マッケンゼンで、彼がみんなをヴォルプスヴェーデに引き寄せた。
今日はときの忘れもの取扱い作家の根岸文子さんが、旦那さんと9ヶ月の可愛い可愛い娘さんと一緒に来廊された。綿貫さんが抱くと泣き、私が抱くと笑った。

ギャラリー新人日記 6月3日

今日は「永井桃子展」の最終日。展覧会期間中、永井桃子さんは毎日ときの忘れものに足を運び、来廊者と接していました。すれ違いで会えなかった方もいらしたようですが、永井さんが居るとは知らずに逢えた方は本当に嬉しそうでした。永井さんもとても嬉しそう。新聞の夕刊を見て来廊された方も多く、掲載されている『光途―日々』が実際はかなり大きい作品だということに驚いている姿や、ゆっくり足を止めて見ている姿、覗き込んで見ている姿など、お客さんの反応を直に見られるのはきっと気持ちがいいんだろうな・・・と思って私も見ていました。

ギャラリー新人日記6月2日

19時からナイト・スタディ・ハウス主催の「初夏のスパイシーパーティ」に参加した。会場は、中目黒にあるドゥ・アーキテクト。日暮れどきの空と、明かりに照らされた庭先の緑は気持ちが上がる夏っぽさ。会場に入るとコップを渡され、ちょっとクセのあるシナモンやジンジャーの香り高いお茶をついでもらった。漆喰の壁で、お洒落な棚がいくつもある居間に通され、19時を過ぎナイト・スタディ・ハウス実行委員会の塩野さん(シオング)が、「スパイスとデザインは関係している・・・」とご挨拶をされた。
 オレンジと白色のサリーを纏ったインド・料理研究家の香取薫先生が、外でスパイスを炒り・潰す姿を見せてくれるというので、皆さんでデッキに出た。そこで、サリーで変身して見せてくれた。料理をする時、子供を抱く時、寒い時、目上の人が来た時、砂漠で顔を覆う時・・・肩に掛けているサリーを前に持ってきたり、頭に掛けたりすることで用途が変わるそうです。
 数種類の粒の状態のスパイスを火で炙ると香りがほのかにしてきた。唐辛子は使わないそうです。そのピーク時に火から降ろし、重い石臼の上に載せ、石棒を持つ手首を上下に力強く動かしながらそれを潰します。(普段は床でこの作業を行なうそう)その際、香取先生の両手首を飾るブレスレットの鈴音がチリンチリンと鳴り、鈴音とスパイスの香りが夜空に舞い上がる。インドの人はこういう風に音を鳴らしながら料理をするそうだ。情熱的だ・・・。スパイスも粉々になり、試食をするため部屋に入り足を崩して床に座った。床に青々としたバナナの葉っぱが置かれた。これがお皿。このお皿に少し黄い色のついたお米が載り、普段はマトンを使用するそうだが、今日は豚肉入りのカレーと(インドでマトンはヤギを指すそう)、トーガンのカレー、豆のカレー、スープカレー、野菜の入ったヨーグルトが次々お米にかけてくれた。また、スナックのようなパリパリするものやベビースタラーメンみたいなものやスパイスも添えられた。香取先生に習って、象の鼻を真似るときの手をして、米とカレーを混ぜながら人差し指と中指と親指で掴み、親指でそれを弾くように口の中へ放り込む。指先から第二間接まで汚して食べるそうだが、もう私は手のひらにさしかかるくらいまでベタベタ。ナフキンで手を拭きたくてムズムズした。でもどのカレーも辛くなく、さっぱりしていて味が口の中で変化し、美味しい。ヨーグルトも悪くはないと思った。また、インドでは食事中に水を飲まないと言います。水を飲むと薬膳の働きをするスパイスの効き目を薄れさせてしまうそうだ。私もインド人になったつもりで最後まで手で食べ、水を飲まなかった。最後は、南インドに行った際の写真をパワーポイントで見た。お金持ちのリゾート地からバザールまでのいろんなインドを見た。南に行けば行くほど派手になるそうだ。今日、初めてインドに行ってみたいと思った。
 異文化を知ることで、自分には持ち合わせていなかったインスピレーションが生れることもあるのだと思いました。たっぷり2時間、異文化に触れ合い、耳を傾けていました。香取先生はスパイスの調合は難しいと言っていた。きっと絵描さんが絵の具を調合したりするのも同じなのだろう。微妙な差異が優劣を変えるんだろうな・・・慣れや感覚、センスの問題なのだろうか・・・と、塩野さんの言う「スパイスとデザインの関係」について、あれこれ考えながら帰った。これからも、ナイト・スタディ・ハウス実行委員会の方々に、“きっかけ”を作ってもらいたいものです。12

ギャラリー新人日記 6月1日

今日は、綿貫さんと令子さんは留守をしている。
一日中、緑蔭小舎の資料をデータ化した。ずっと画面を見ていたら、目が疲れて気持ち悪くなった。いつもは綿貫さんにちょこちょこ呼ばれ、その度にパソコンから目を離していたので、目を休める時間だったのだと思った。




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