大分・アートプラザで開催される「磯崎新7×7 2008“7Villas”」展のオープニングに出席するため、植田実先生と大分までやってきました。
飛行機の出発が遅れ、アートプラザには開始時間を少し回って到着しましたが、磯崎先生のあいさつには間に合いました。黒のロングコートを纏って凛々しいお姿。今年、喜寿という喜ばしい年を迎えられます。さらにアートプラザは10周年記念だそうです。
231



あいさつでは、感慨深いこんなことをおっしゃっていました。

「還暦のときに、3つのことをやらないことに決めました。
一つは、賞はいただかないことにしよう。
二つは、団体とか協会などには入らないようにしよう。
そして、財産を残さない。
ひとつだけ残したことは、ものをつくるという力、ものをつくるという仕事を残しました。」

二つ目の、団体や協会などに入らないというのは、最後に上にいきたいと思ってしまうから・・・と話していました。人々から評価されはじめると、いつの間にか、名誉や財産を手にすることが目的となってしまうことも、少なからずあるかもしれません。一概にそれが悪いとは言えませんが、この発言を聞いて、さらに磯崎先生の考え方やものをつくりつづけるスタイルに、深く感銘を受ける私でした。

磯崎先生のギャラリートークが行なわれた後、植田先生にくっついて食事会に私も参加させてもらいました。
ここで、やっと磯崎先生にごあいさつができました。

別府にある磯崎先生設計のビーコンプラザで「第2部 シンポジウム」が開催されるため、今回とてもお世話になった生活空間デザイン室の山本栄一さんの車に便乗させてもらいました。ビーコンプラザへ向かう途中に、「辛島邸」の前を通ってもらいました。シンメトリーの、ガラスブロックをアーチ状にあしらった重厚な建物です。

5


早く着いたので、中を見て回りました。植田先生にくっついて回ると、貴重な評論を聞けます。アートプラザもビーコンプラザも、折り返しのスロープをつかっているんだね、とか・・・。
67







15時半から、「都市・建築の歴史と展望」シンポジウムが始まりました。
始めに、千葉学先生が「建築と都市」をテーマに講師をされました。
17時過ぎから、磯崎新先生、千葉学先生、青木茂先生によるパネルディスカッションが始まり、磯崎先生の「光の中で、その建築がいいかわかる。影を見る。」というお話は衝撃的でした。
磯崎先生の1999年制作のシルクスクリーン「影」という作品があります・・・

1
磯崎新 Arata ISOZAKI
「影1(ティーム・ディズニー・ビルディング)」
  1999年、シルクスクリーン
  58.3×77.0cm(シート70×90cm)
  Ed.35  signed


3
磯崎新 Arata ISOZAKI
「闇1(なら100年会館)」
  1999年、シルクスクリーン
  58.3×77.0cm(シート70×90cm)
  Ed.35  signed

**********

大分市内に戻って、植田先生と山本さんと磯崎新アトリエのスタッフの方々と合流し、12人で飲み直すことにしました。山本さん一押しの「海源丸」のお座敷に座り、肉厚のさばとアジの生き造り舟盛をいただきました。このさばは、甘くて臭みが全くなく、ブリブリしていました。次々出てくる新鮮で旬なお料理に、顔がほころび、楽しい夜を過ごしました。
101112
                              
つづく (おだちれいこ)