ときの忘れもの 今月のお勧め
■2009年11月20日(金)  日本には無い磯崎新「TSUKUBA」シルク連作3点
grp1120132340.jpg 462×1341 103K磯崎新「TSUKUBA Ⅰ」
1985年
シルクスクリーン
イメージサイズ:56.0×56.0cm
シートサイズ:76.0×61.5cm
Ed.75(P.P.)
サインあり

磯崎新「TSUKUBA Ⅱ」
1985年
シルクスクリーン
イメージサイズ:56.0×56.0cm
シートサイズ:76.0×61.5cm
Ed.75(P.P.)
サインあり

磯崎新「TSUKUBA Ⅲ」
1985年
シルクスクリーン
イメージサイズ:56.0×56.0cm
シートサイズ:76.0×61.5cm
Ed.75(P.P.)
サインあり

つくばセンタービルのコンセプトを見事に表現した磯崎新のシルクスクリーン3点連作をご紹介します。
私たちは、現代版画センター、ときの忘れものを通じて磯崎新先生の版画作品のほとんどに版元として関わってきました。
しかし、この名作3点に関しては、アメリカの某社の注文で制作されたもので、私たちは全く関与しませんでした。他の作品同様、刷りは名手・石田了一さんです。
版画による<TSUKUBA>シリーズはこの他に銅版が2種類(これは私どもが版元で発表し、今回の展覧会にも出品します)あります。
シルクスクリーンによりる3点は本の表紙や雑誌に幾度となく紹介されているので、ご存知の方も多いのですが、実は日本国内にはほとんど存在しません。限定75部の番号入りすべてが米国某社に送られ、その後行方不明になってしまった・・・・
石田了一さんの古い記録(納品書)をひっくり返してもらったところ、昭和60年3月8日、この作品は各80部が完成し、磯崎アトリエに納品されました(番号入り75部+作家保存用AP3部+刷り師保存用2部)。磯崎新先生がサインされ、各75部3種類がアメリカに送られたところまではわかっていますが、その後、この作品の行方は杳として知れない。
私自身、この作品の番号入りをただの一点も見たことがありません。版画の限定番号(通常は画面左下に記入)というのは作家自身が記入する場合と、他者(多くは版元)が記入する場合とがあり、ともにルールとして認められています。磯崎版画のほとんどのサインに私は立ち会っており、またほとんどの限定番号は版元として私どもの社長が記入してきました。
しかし、「TSUKUBA Ⅰ~Ⅲ」に関しては、私たちは関与していないので、磯崎先生がサインのときに限定番号も一緒に記入されたのか、それともアメリカの某社の担当者が限定番号を入れたのか、実物がない以上、いまとなっては霧の彼方です。
今回の企画展は「磯崎新ブックアーカイブスI ― TSUKUBA1983」と名乗った以上、銅版2点と、3点のシルクはどうしても出品したい。石田さんに泣きついて秘蔵のPP(プリンタープルーフ)から1部をわけていただきました。イソザキファン必見の作品です。

磯崎新 Arata ISOZAKI(1931-)
建築家。1931年大分市生まれ。54年東京大学卒業。61年東京大学数物系大学院建築学博士課程修了。63年磯崎新アトリエを設立。代表作に[大分県立中央図書館][岩田学園][福岡相互銀行本店][つくばセンタービル][MOCA―ロサンゼルス現代美術館][バルセロナ市オリンピック・スポーツホール][ティーム・ディズニー・ビルディング][山口県秋吉台国際芸術村][トリノ冬季五輪アイスホッケーメーン会場]他。近年は頻繁にアジアに出向き、多数のプロジェクトに参加している。日本建築学会賞、RIBA賞、朝日賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞、他受賞。著書『空間へ』『建築の解体』『手法が』『栖十二』『建築家捜し』など多数。

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