■2011年09月30日(金)
菅井汲「シグナルG」
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 | 菅井汲 「シグナルG」 1976年 シルクスクリーン(刷り:石田了一) イメージサイズ:31.5x22.0cm Ed.150 サインあり
今週のお勧めは菅井汲の「シグナルG」です。 1975年、渡仏以来三度目の帰国をした菅井汲先生に私はパレスホテルで会い、日本での版画制作を依頼し、「スクランブル」「シグナル」「ポートレート」等の連作が誕生しました。 出来上がったこの作品が初めて展示(発表)されたのは、いまは亡き志水楠男さんの南画廊での菅井先生の1976年の個展でした。当時は「信号機」などと揶揄され、初期のフリーハンドの作品を懐かしむ声が多かったのですが、今となっては、これらシステマテックな作風もやはり「世界のスガイ」のものだと痛感します。 1967年の自動車事故で奇跡的に一命を取り留めますが、それを転機にシステマテックな抽象造形を一層深化させます。1976年の現代版画センター企画による菅井汲全国展を契機に名プリンター石田了一さんとのコンビで、シルクスクリーンの制作を本格化させました。明快なフォルムと鮮烈な色彩、菅井シルクの絶頂期の作品です。
◆菅井汲 Kumi SUGAI(1919-1996) 1919年神戸市生まれ。本名・菅井貞三。阪急電鉄でデザイナーとして活躍、プロ野球の阪急ブレ-ブスのマークなどを制作。中村貞以に日本画を学ぶが52年渡仏、渡仏間もないクラヴェン画廊での個展が大きな反響を呼び、たちまちパリ美術界のスターとなる。55年から版画制作を開始、生涯に約400点を制作。59年リュブリアナ国際版画展、65年サンパウロ・ビエンナーレ最優秀賞など数多くの国際展で受賞。96年永逝(享年77)。 | | |