山田陽のエッセイ「FRESH BREW NEW YORK」 第13回 2012年1月30日 |
実は、ニューヨークに移ってきてから、11回引っ越しをしています。
学校の寮から始まり、友達とルームシェア、5人の知らない人と一緒に住んだり、短い期間の部屋のまた貸し、とうとうできた一人暮らし、ここ数年のブルックリンに落ち着くまで数えると、本当にたくさん移動していました。 ニューヨークでの住居についての話は、ステイタスの問題と同じくらいずっとまとわりついてくるニューヨークらしい話題であると同時に、常にみんなの関心事でもあります。 マンハッタンは、狭い島の中に世界中から人が集まってくるのですから、それはビックリするくらい家賃は高いですし競争も激しいです。そこからもう少しより良い条件を求めて、ブロンクス、クイーンズ、ブルックリン、スタッテンアイランド、そして川を挟んだニュージャージーへと住む場所を探して拡散しているという感じです。とはいえ、ブルックリンでも人気の地区、たとえばブルックリンハイツやウィリアムスバーグは、マンハッタン並みに高かったりするのですが。 最近撮影させていただいているインテリア雑誌の取材で、素敵なニューヨーク暮らしを実践されている方々の部屋をみる機会が続いています。外観ははっきり言ってボロボロ、という場合でも、なかに入ってみると、住人の方のセンスが隅々まで生かされていて、とても素敵な空間に仕上がっている、ということが多いです。ニューヨークでもやはりデザイナーズの家具はそれなりの値段がしますから、みんな遠くのフリマに出掛けて行ったりして、好みの家具を安く入手していたりします。やはり手間ひまかけてこそ、インテリアのスタイルも築かれていくのでしょう。そういうおうちを拝見したあとは、自分の家も片付けよう、もっと工夫しよう、という気が起きるので、インテリア撮影はおもしろいです。 ちなみに現在僕が住んでいるのは、1800年代後半に建てられた一軒家を、その後1フロアずつ区切って貸している、という物件です。5フロアあり、僕らは2階に住んでいます。もちろん階段しかないので、5階の人達はいつも大変そうですが、それでもいちばん光が差し込んでくるのも5階なので、各フロア毎に長所&短所があるというところでしょうか。ちなみに1階のユニットには、かなり大きな庭がついています。その庭は1階の住人だけのものですが、それだけのスペースが裏にあるのは、景色だけでも贅沢というものです。 最近また手狭になってきたため、もしかしたら近い将来12回目の引っ越しがやってくるかもしれません…。 (やまだ あきら) ■山田陽 Akira YAMADA 神奈川県川崎市に生まれる。文化服装学院でファッションデザインを学ぶ。1998年渡米。ニューヨークで6年間ブティック、レストラン、プライベートパーティのために高級フラワーアレンジメントを提供するフローラルデザイナーとして活躍。2004年その創造的な関心は「写真」に向けられた。 ポートレートやルポルタージュが『ヴォーグニッポン』や『ヴォーグチャイナ』、『マダムフィガロ』、『ハーパースバザージャパン』、『ウィメンズウェアデイリージャパン』、『カーサブルータス』、『メンズノンノ』、『ギンザ』、『ポパイ』に掲載される。 ポートレートやルックブック(スタイル見本)を撮影し、「デレク・ラム」や「3.1 フィリップ・リム」、「トッズ」、「バンドオブアウトサイダーズ」などのファッション会社と仕事をする。 ファッションやデザインをあらためて学んだことで、どんなものにも美しさを見出し、洗練されたイメージを創り出すようになる。記録や探検、そして、他の文化からインスピレーションを得るために世界を旅する。現在、ニューヨークを拠点に活動。 作者公式サイト http://www.akirayamada.com/ 「山田陽のエッセイ」バックナンバー 山田陽のページへ |
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