第309回 ル・コルビュジエ展 2019年3月15日[金]―4月6日[土] 11:00-19:00※日・月・祝日休廊 |
ときの忘れものは開廊以来、ジョバンニ・バティスタ・ピラネージ、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、安藤忠雄、磯崎新など建築家たちが描いたドローイングや版画を紹介してきました。
日本では、建築家=建築を設計する「技術者」と思われていますが、私たちは優れた建築家というのは、人間の生きる空間をデザインする「アーティスト」だと考えています。
その空間に身をおくだけで人間の精神に刺激を与えるような空間を創造する人、実際に建築が実現しなくとも、そのような空間を夢想する人、そんな建築家たちの描いた作品を私たちは積極的に扱ってきました。
20世紀の鉄とコンクリートとガラスの建築をリードした巨匠、ル・コルビュジェは、精力的に世界各地に建築を残しましたが、その出発点は画家であり、生涯絵筆を離すことはありませんでした。版画作品も精力的に制作しています。
今回の「ル・コルビュジエ展」では、代表作「ユニテ」連作などの版画作品と、彼のデザイン入りの食器なども出品し、多彩な才能の一端をご紹介します。
最終日4月6日[土]は1日だけの「吉川盛一の建築本の販売」を開催します。吉川盛一氏は「住まいの図書館出版局」などで活躍する建築専門の編集者です。
■ル・コルビュジエ Le CORBUSIER (1887-1965)
建築家。1887年スイスのジュラ地方ラ・ショー・ド・ファン生まれ。本名シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ。1906年初めての住宅[ファレ邸]を設計。1917年パリに出るが、翌年左目を失明する。『エスプリ・ヌーボー』の創刊に関わり、美術運動にも参加。1922年建築事務所設立。代表作[サヴォア邸][ロンシャン礼拝堂][ラ・トゥーレット修道院][国立西洋美術館]他。1965年水泳中にカプ・マルタンで死去(78歳)。
ライト、ミースと並ぶ20世紀建築界の巨匠はリトグラフによる詩画集『直角の詩』など多くの版画を残しました。[近代建築の五原則]を提唱、近代建築国際会議(CIAM)メンバーとして近代建築理論の最大の指導者でした。油彩、彫刻、版画を制作、生涯絵筆を手放しませんでしたが、その死は悲劇的でした(母なる海に帰ったともいえますが)。そのあたりのことは磯崎新『栖十二』の美しいオマージュをお読み下さい。
展示風景