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建築を訪ねて

光嶋裕介設計・凱風館と如風庵を見学(神戸)
尾立麗子

2014年10月

10月20日、植田実先生と綿貫夫妻と私で、神戸にある光嶋裕介さん設計の「凱風館」と「如風庵」を見学に行きました。



駅から少し歩くと見えてくる「凱風館」。勾配の違う三角屋根や庇がいくつも連なり、ファサードからしてなんだか面白そう。 



まずはオーナーの内田樹(中央後姿)先生に道場に案内してもらいました。背中がしゃんとする美しい道場。天井のルーバーと梁と照明のリズムがとてもいいです。天井と壁の境目に褐色の木がぐるっと一周しており、囲まれている感じがして、集中できそうな空間です。



山本浩二さんが描いた《老松》の美しい絵で、さらに背筋が伸びました。





瓦師の山田脩二さんが手がけた路地の敷き瓦。波や魚の鱗や虹や月に見えて、所々に色が入り、とっても可愛い!瓦って古い印象でしたが、こんなに素敵に変身するんですね。

そして、2階へ、、、



まず眼に飛び込んでくるのは、削り出された木。氷山のように見えましたが、手触りも抜群に優しく、なんといっても美しいのです。



棟木も年輪が多様な顔を出していました。



本棚がある空間が内田先生の書斎です。
中心には、長い八角形の柱がしっかり支えています。この柱も触り心地がなめらかで気持ちいい。
書斎と客間サロンに間仕切りはありませんが、レベルが違うことでなんとなく区切られ、また屋根の形状と天井の意匠が違うことで空間を差別化しているように感じました。



この杉のベンチ、とっても素敵!!



室内にも勾配した屋根があります。

 

ロフトへは、この変わった階段をよじ上ります。



漫画がいっぱい。遊びにきた子どもたちはここに籠るそうです。ここにも片流れの屋根が。



光嶋裕介さんの処女作「凱風館」、それぞれの空間にそれぞれの勾配屋根があり、その屋根が連続する面白さと、素材のこだわり、意匠、一つひとつ丁寧な職人さんの仕事ぶりが随所に伺え、力作でした!!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

続いて、完成間近の「如風庵」へ案内していただきました。
道中で植田実先生は「処女作であれだけやってしまった光嶋さんが、凱風館以上のものができるかどうかが課題だね。」とおっしゃっていたそうですが、果たしてどうでしょう・・・。

住宅なので、お見せする写真は一枚だけですが、あしからず。



この一枚の写真で伝わりますよね。本当に美しいんです。

玄関を入ると、ゆるやかにうねる壁が揺らいでいるように見えて、とっても優しい空間が広がります。
少しずつレベルが変わり、流れるような動線に導かれます。
部屋がはっきりと分かれておらず、ここはどんな使い方をするのだろう?と住む人が考える空間がたくさんありました。とっても贅沢な空間がたっくさん。ゆとりを感じます。
同行した内田先生は、この見事な住宅に、ジェラシーさえ感じており、なんだか可笑しかったです。
<内田樹先生のtwitterより · 10月20日
植田実先生と青山の「ときの忘れもの」の綿貫さまご一行とともに如風庵を見学。すばらしい住宅でした。凱風館よりひとまわり洗練されたみごとな作品となりました(「ググ、グヤジイ」@谷岡ヤスジ)。>

光嶋裕介さんの建築に浸った楽しい一日でした。

(おだち れいこ)





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