ときの忘れもの ギャラリー 版画
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建築を訪ねて

遠藤新設計 加地邸をひらく 2015(神奈川県葉山町)
2015年05月

建築家のドローイング展」より、8人の建築家の作品と建築をご紹介してきましたが、最後をかざるのは光嶋裕介です。
8人の中ではもちろん最年少、江戸時代(幕末)生まれのライトから見れば曾々孫くらいの世代の若い建築家です。
出品依頼のメールには即【快諾】の返信がありましたが、ライト以下錚々たる面子に少しびびったらしい(噂)。
公私超多忙の中、新作を描いてくれました。
つい先日、パパになったばかり(おめでとうございます!)。私たちが今後の活躍を最も期待する建築家です。



光嶋裕介 Yusuke KOSHIMA
《Wonder City 2015》
2015
紙にインク、墨
31.0x38.0cm
Signed


 
光嶋裕介 Yusuke KOSHIMA
《幻想都市風景 - TREE HOUSE》
2014
和紙にペン、墨
52.0x34.0cm
Signed



 
右2点が光嶋裕介、左は石山修武

光嶋裕介の建築

[凱風館]
2011年竣工
神戸
写真撮影:尾立麗子

思想家・内田樹さんの自宅兼道場(合気道)で、光嶋裕介の処女作です。
材木屋、大工、構造家、左官職人、テキスタイル・デザイナー・コーディネーター、画家など、多分野のプロフェッショナルが集まりつくられた「みんなの家」です。
室内は、門下生が自由に集まる道場、書斎から住居部へとパブリックスペース、セミパブリックスペース、プライベートスペースが連なっています。さまざまな個性が同居する状況に対し、周辺の街並にスケールを併せた小さな屋根が、部屋ごとに架かる構成が取られています。
SD REVIEW 2011に入選しました。


[凱風館]にて、左から植田実先生、綿貫不二夫、光嶋裕介、綿貫令子 2014年


[祥雲荘]の内部空間
2013年竣工
東京
写真撮影:尾立麗子

光嶋裕介の第三作目となる住宅[祥雲荘(しょううんそう)]。コンセプトは「家族がそれぞれの場所をもち、気配を感じながら繋がる、透明感のある明るくコンパクトな杉と檜の家」だそうで、[祥雲荘]の名づけ親は内田樹さんです。


シルクスクリーン制作の打合せ
光嶋裕介さんと刷り師の石田了一さん(右)

*画廊亭主敬白
日本発の文化で、建築ほど世界のトップランナーを輩出している分野はありません。
亭主は15歳のころ、高崎の井上房一郎邸でアントニン・レーモンドの油彩を見て以来、たくさんの建築家の油彩、ドローイング、版画を見てきました。昔、建築会館でアルヴァ・アアルトの展覧会があったとき展示されていた油彩など今でも懐かしく思い出します。
美術業界に入った1974年から「建築家の版画とドローイング」をメインにしたいと考え、幸いにも磯崎新先生の版画エディションを1977年からはじめ、続いて安藤忠雄先生などに版画の制作をお願いすることができました。
建築家の作品をメインに扱う画廊は40年前には皆無でしたし、今もそう多くはないでしょう。
「有名建築家だから扱うのですか」とよく聞かれるのですが、有名だから美術品として流通する作品が描けるわけではありません。今回取り上げた8人の建築家は、私の知る限り建築のコンセプトであれ、建築には直接関係ないイメージであれ、日々「描く」ことを欠かさず、それこそ絵描きとして膨大なドローイングを続けています(た)。
描かずにはいられない、次々と湧き上がる豊富なイメージを紙の上に残すことにこの上ない喜びを感じる建築家だけが美術作品を生み出せるのです。
ときの忘れものは、今後も優れた建築家の作品を紹介し続けたいと思います。日本ではまだまだ市場が成熟していませんが、コレクター諸氏のご後援を切にお願いする次第です。




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