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建築を訪ねて

映画「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」
尾立麗子
2017年09月




 
ル・コルビュジエ映画試写会

先日、植田実先生と「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」の映画試写会に行ってきました。
アイリーン・グレイの家具はいくつか知っていましたが、恥ずかしながらその生涯については全く知りませんでした。
このお話の中心は家具デザイナーであるアイリーン・グレイの生涯と、彼女が設計したカップ・マルタンにある〈E.1027〉を巡るお話。そこには、ル・コルビュジエフェルナン・レジェも登場し、アーティストの交流も垣間見られます。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが・・・
アイリーンが設計した〈E.1027〉は恋人で建築家兼評論家のジャン・バドヴィッチのために考え尽くされた二人の住居。「住宅とは住むための機械である」と言うル・コルビュジエに対し、「住居とは人間を包む殻である」と真っ向から対立するアイリーンでしたが、コルビュジエが提唱してきた「近代建築の5原則」を取り入れ、コルビュジエが嫉妬するほど完成度の高いものとなりました。
当時、壁画を描くことに意欲を見せていたコルビュジエは、アイリーンに無断で〈E.1027〉に壁画を描き、アイリーンは心を痛めます。ここに登場するコルビュジエは腹立たしいほど強欲な悪者です。
映画に登場するアイリーンデザインの家具は凛とした佇まいで、美しく、エレガントでうっとりとさせられます。映像も綺麗なので、〈E.1027〉が映るシーンは食い入るように鑑賞しました。
数々の悲運に見舞われた〈E.1027〉ですが、2007年に仏政府機関に買い取られ、本格的な修復が始まったそうです。この映画の撮影のために内部を修繕され、いくつかの家具は復元され、実際のロケ地として使われたそうな。
10月14日より東京のBunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開されるので、是非ご覧ください。
おだちれいこ


ル・コルビュジエ ロンシャン礼拝堂にて 2009年 
Photo by Reiko Odachi

毎月17日に掲載している倉方俊輔さんのエッセイ「『悪』のコルビュジエ」もお読みください。


 
最近、我が家の絵本に加わった『3びきのこぶた 建築家のばあい』にもアイリーン・グレイデザインのラグ「ブルー・マリン」が登場します。


こぶたの下に敷いているラグです。このラグは〈E.1027〉のためにデザインされたそうです。




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