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建築を訪ねて

森美術館「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」
尾立麗子
2018年08月

  森美術館15周年記念展「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」を植田実先生と観に行ってから二ヶ月ほど経ってしまいましたが、ご報告します。
膨大な量が展示されているという噂通り、途中でお茶休憩を挟みたいほどの大展覧会です。これだけの量の建築を一つの展覧会にまとめるのはさぞかし大変な仕事だったと思います。このときはカタログはまだできおりませんでしたが、予約注文だけしておき、7月末に分厚いカタログが届きました。このカタログも見ごたえあります。

 


入口すぐに北川原温《木組インフィニティ》がお出迎え。4種類の基本部材でくみ上げられているそうです。
 

このセクションには《厳島神社 大鳥居》《東照宮 五重塔》(1818年)や磯崎
《空中都市 渋谷計画》(1962年、計画案)の写真や模型が展示されていました。


東京を一望できるビューポイントに展示された千利休作の茶室《待庵》の原寸。





本物の《待庵》を訪ねたことのある植田実先生曰く、実物を体験したときの二畳より広く感じるとのこと。実物は床の間がもっと黒々していてちょっと怖いような感じがあったし、躙口の右手前に壁(袖壁というのかな?)があったから余計狭く見えたのかもねとおっしゃっていました。
私も二畳と言葉で聞くと狭いと感じますが、「次の間」も開いていたということもあり、また外の明かりが室内に差し込み明るかったので意外と広く感じました。

 


「ブックラウンジ」として、香川県庁舎と香川県立体育館、香川県文化会館にある家具が配置されていたので、椅植田実先生と椅子に座ってちょっと休憩。丹下研究室がデザインしたこの間仕切り棚がとても素敵です。香川県庁舎は以前訪ねたことがありますが、この仕切り棚は記憶になく、見逃したかもしれません・・・汗


住居・丹下健三自邸 3分の1スケールの巨大模型



丹下健三自邸が現存しないのがとても残念ですが、図面と巨大模型を比べながら拝見できました。
丹下健三先生ご夫妻が、磯崎新先生の結婚式の仲人をされたという話は聞いたことがありましたが、モニターに丹下健三自邸ピロティでその結婚の様子が写った写真を発見!これから行かれる方はお見逃しなく!

最後の「09共生する自然」というセクションは、私が今注目している建築家の方々の資料がたくさん展示してあり、興奮しました。行かれる方は最後まで余力を残しておいてくださいね。
石上純也さんの山口県宇部市に建設中の[House & Restaurant]の映像を以前見たとき衝撃のあまり口があんぐりと開いてしまいましたが、ここでも建設過程の映像を見ることができます。職人さんが土地に手で穴を掘り、そこにコンクリートを流し込み、固まったコンクリートを土から掘り出して・・・言葉にすると意味不明かもしれませんので、是非映像をご覧ください。とにかく面白いことやっています。
また、最近賞を多数受賞している坂茂さんの[静岡県富士山世界遺産センター](2017年)は水に映る富士山が美しく、今一番見たい建築です。
田根剛さんの[A House for Oiso]があり、田根さんの建築を実際に見たことはないのですが最近とても気になる建築家です。
三分一博志さん(個人住宅などはいくつか外から拝見)の建築も気になっています。
そして、安藤忠雄先生の[水の教会]も展示されていましたが、この夏休みに北海道を旅行した際に見て来ました。雨がしとしと降る夜でしたが、コンクリート打ち放しの礼拝堂から森に囲まれた大きな水盤に佇む十字架を眺め、静寂なひと時を過ごしました。ラッキーなことに途中で礼拝堂の大きな扉が開き、感激。ここには非日常がありました。(以下写真は展覧会とは関係なく私が撮った写真です。)









建築って面白いな〜こんなことできる(しちゃう)んだな〜と改めて建築の面白さが伝わる建築展です。会期は9月17日までとあまり時間がありませんので、ご興味のある方お急ぎください。
(おだちれいこ)


 
「六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展
建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」

会期:2018年4月25日[水]〜9月17日[月] *会期中無休
会場:森美術館
時間:10:00〜22:00(火曜日のみ17:00)※入館は閉館の30分前まで
 いま、世界が日本の建築に注目しています。丹下健三、谷口吉生、安藤忠雄、妹島和世など多くの日本人建築家たちが国際的に高い評価を得ているのは、古代からの豊かな伝統を礎とした日本の現代建築が、他に類を見ない独創的な発想と表現を内包しているからだとはいえないでしょうか。
日本は、明治維新からの150年間、大いなる建築の実験場でした。幾多の実践のなかで、日本の成熟した木造文化はいかに進化したのでしょうか。西洋は日本の建築にどのような魅力を見いだし、日本建築はそれにどう向き合ったのでしょうか。日々の暮らしや自然観といった目に見えないものの変遷も日本の建築を捉える上で重要な要素となるはずです。
本展は、いま、日本の建築を読み解く鍵と考えられる9つの特質で章を編成し、機能主義の近代建築では見過ごされながらも、古代から現代までその底流に脈々と潜む遺伝子を考察します。貴重な建築資料や模型から体験型インスタレーションまで100プロジェクト、400点を超える多彩な展示によって、日本建築の過去、現在だけでなく、未来像が照らしだされることでしょう。(森美術館HPより転載)




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