レスリー・R・クリムス
Leslie R. KRIMS
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1943年アメリカ、ニューヨーク生まれ(1942年生まれという説もある)。クーパー・ユニオンとプラット・インスティチュートで学ぶ。1967年よりフリーランスの写真家として活動を始める。プラット・インスティチュートやロチェスターで写真技術を指導する傍ら、ヌードをテーマに80年代の動向を先取りするような写真を多く制作する。当時は性解放の風潮でポルノやヌード写真が解禁されたことによって、写真家たちはさらに新しいエロティシズムを探していた。それは決して美しいとは言えない普通の裸体を、日常的でありながら一種の過剰な設定内に引きずり出し撮影することで、未知のエロティシズムを引き出そうとするかのような試みだった。 |
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たとえばクリムスは「ママのスナップ」で初老の肥満した自分の母親のヌードを部屋の中で撮影する。その身体の上にはクリムスの幼少から青年時代に至るまでの写真がべたべたと貼られており、母親の堂々とした様子と息子への誇り・偏愛の象徴とも見える写真は、肉体の現実だけでなく心理的な状態までも過酷に露出している。70年代には小人やユダヤ人の母親、その家族、鹿狩りの人々、道端で死んだ動物たちなどの対象を、冷笑的で皮肉な、しかし鋭い視点で捉えるようになる。クリムスは奇妙で不思議なテーマを選び、誇張されたイメージと組み合わせることで、時にグロテスクでブラックユーモアに満ちた、見る者を不快にさせる作品を展開する。
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