2009年6月の展覧会 ◆銀塩写真の魅力〜Gelatin Silver YES!
会期=2009年6月9日[火]―6月27日[土] 12:00-19:00 *日・月・祝日休廊 6月20日[土]17時より、写真評論家の飯沢耕太郎氏によるギャラリートークを開催いたします。 「オリジナルプリントをコレクションする愉しみ」 参加費1,000円(1ドリンク付) ※要予約(氏名・電話番号を明記の上、メールまたは電話(03-3470-2631)でご予約ください。) 昨今、携帯電話のカメラ機能などにより、写真を撮る人の数は爆発的に増えています。ただ、もうカメラのファインダーを覗く姿を見ることは稀になりました。銀塩写真の危機が叫ばれて久しく、絶滅寸前かと思えば、レコードが一部で復活の兆しがあるように、銀塩写真にもそういったことが起きているようです。新しい技術が現れると古い技術は淘汰されてしまいますが、新しいものにはそれなりの良さがあり、古いものにも長年培われた技術の伝承があります。
銀塩写真には、ディジタル写真にくらべて手間のかかることが多い分、それが楽しみとなり、個性となります。今回の展示では、コレクターG氏のコレクションから、ゾーン・システムを考案したアンセル・アダムス、それを現在日本で実践する中島秀雄、複数のネガを用いてひとつの画像を作り上げるジェリー・ユルズマンなど暗室作業にこだわった作家のほか、ウィン・バロックの代表作「森の中の子供」、エドワード・ウェストンの「ヌード(1936)」などの作品を通して、銀塩写真の魅力に触れていただきたいと思います。 出品写真作家
Edward WESTON(1886−1958)
Wynn BULLOCK(1902-1975) Ansel ADAMS(1902-1984) Lewis CARROLL(1832-1898) Leslie R. KRIMS(1943- ) Jerry N. UELSMANN(1934- ) Herb RITTS(1952-2002) Shoji UEDA(1913-2000) Hideo NAKAJIMA(1947- ) Michiko KON(1955- ) Shigeo ANZAI(1939- ) Chris JOHNSON Allen A. DUTTON Fred SCHIEL Gilles PERRIN(1947- ) ■エドワード・ウェストン(Edward WESTON)1886年アメリカ、イリノイ州生まれ。1902年、父親からもらったカメラで写真撮影を始める。1911年カリフォルニアのトロピコ(現グランデール)に写真館を開き生計を立てる。1922年ピクトリアリズムから、自然光を巧みに生かした正確でシャープなストレートフォトへと転換し、肖像、静物、ヌード、風景を撮る。1923年から1926年まではメキシコで活動し、写真家ティナ・モドッティらと交流を持つ。1927年カリフォルニアに戻り、これ以降ヌード、玉葱の断面、貝殻といった自然の事物の形態をクローズアップで撮影、その造形美を追求した。1930年にニューヨークのデルフィック・スタジオで初個展を開催。1932年にアンセル・アダムス、イモージン・カニンガムらと共にグループ『f/64』を結成。8×10インチの大型カメラで、レンズの絞りを最小値64にし、撮影対象の究極のリアリズムとフォルムの美を追求した作品は現代写真に多大な影響を与えた。1930年代後半からは次第に砂漠や断崖といったカリフォルニアの風景を撮るようになる。1938年に写真家で初めてグッゲンハイム奨励金を受け、その成果を1940年に『カリフォルニアの西部地方』で発表。1946年パーキンソン病になり闘病生活を送りながら制作を続け、1958年永眠。
■ウィン・バロック(Wynn BULLOCK)1902年アメリカ生まれ。コロンビア大学、ウエスト・バージニア大学で音楽を学び、プロのテノール歌手としてブロードウェイで4年間活躍。その後留学したパリで、印象派絵画やモホリ・ナジ、マン・レイなどの写真に触れ、視覚芸術に興味を抱くようになる。この頃、カメラを購入し写真を撮り始める。パリでの舞台デビューでは好評を得ながらも声の限界を感じるようになり、1930年アメリカに帰国。これを機に本格的に写真表現に傾倒していき、写真を学ぶため36歳にしてロサンジェルス・アート・センターに入学。絵画の影響を受けていたこともあり、ストレートな写真よりもソラリゼーションなどの実験的技法に没頭する。1941年卒業、商業写真で生計を立てる。1948年エドワード・ウェストンと出会い、暗室作業での操作を排しシンプルかつダイレクトに世界と向き合う彼に強い影響を受ける。その後バロックはそれまでの実験的な作品をやめ、森や海などの自然や、その自然の中に幼い少女や女性のヌードを配した写真を多く撮影する。代表作、「森の中の子供」「そこに光あれ」など。1975年、歿。
中島秀雄のエッセイ「銀塩写真の魅力 ゾーンシステムを巡って」 <銀塩写真の魅力/Gelatin Silver YES! 展>出品リスト 2009.6.9〜6.27
展示風景 ギャラリートーク 『ときの忘れものアーカイブス vol.2 銀塩写真の魅力 Gelatin Silver YES!』 見積り請求(在庫確認)フォーム 【TOP PAGE】 |