ときの忘れもの ギャラリー 版画
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杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」
第74回 2022年05月10日
石灰岩の塊

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イースター休み最終日。気温は15度くらいだけれど日差しは強く、お出かけ日和です。
ということで今日は元同僚の友人と一緒にアウトドアクライミングに行きました。

目的のルートのあるフェルスベルク(Felsberg)という村は、僕の住んでいるクール(Chur)から車で10分くらい。元々は石灰岩の石切場のあったところの傍にスタート地点があります。この石灰岩の塊を登っていくわけですが、職業柄、なんだか大きな建材の塊を登っていくような気持ちにもなりました笑。

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実はアウトドアで登るのはまだ二回目で、最後に登ったのは一年前。うまく登れるか少し心配でしたが、ルートは初心者コースで一番難しいところでも6a+レベル。標高差は300mくらい。3人で登ってお昼休憩を挟んで、5時間弱くらいのルートです。
友人は登り慣れているので、ロープを掛けながら先に登ってもらい、僕たちは後からついていきます。ルートマップに拠れば、50mロープを使って13回登ります。

普段はカラフルな持ち手を追っていくボルダリングで、次にどこを掴めば良いのかがわかりやすいのですが、今回はそんなガイドはありません。掴めそうな、足掛かりとなりそうな所を見つけることからはじまり、はたしてそこがしっかりとしているのか?をチェックしながら進みます。
もし崩れそうだったら、下から登ってくる人に落石の危険があるので、気を付けなければいけない。そういった事実が気持ちをソワソワさせました。

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そもそも高所は得意な方ではないので、できるだけ下を見ずに登っていきます。

他の人が目の前で登っているのを見ると、そんなに急傾斜のようには見えないのですが、実際に自分の番になって崖に対峙すると結構スリルがあって、登り切った時に細やかな達成感があります。たぶん、この感覚がやみつきになってしまうんだろう、と。

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先週末には、Meiringen(マイリンゲン)という街へボルダリングの世界選手権を見に行ったばかりでした。その時に見た世界トップレベルの人たちの動きが、身軽さと身体の使い方が凄くて。。それを思い出しながら登ると、目の前のものはできるはずだと思えて登り切れました。

壁や崖を登っていくという、いかにもシンプルなことが、スポーツとしてこんなにも楽しいものであることに改めて驚きながら、気持ちの良い筋肉痛をもらって帰りました。

(すぎやま こういちろう)

杉山幸一郎 Koichiro SUGIYAMA
日本大学高宮研究室、東京藝術大学大学院北川原研究室にて建築を学び、在学中にスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ピーターメルクリ スタジオ)に留学。
2014年文化庁新進芸術家海外研修制度によりアトリエ ピーターズントーにて研修、2021年まで同アトリエ勤務。
2021年秋からスイス連邦工科大学デザインアシスタント。建築設計事務所atelier tsu。
世の中に満ち溢れているけれどなかなか気づくことができないものを見落とさないように、感受性の幅を広げようと日々努力しています。


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