◆ナミビア:室内の砂丘 尾形一郎 尾形優写真展 会期=2011年5月30日[月]―6月11日[土]
20年に亘って大型カメラを携え、世界の辺境に残された建築物を撮りつづけている尾形一郎と尾形優。 昨年好評を博したシリーズ〈ウルトラ・バロック〉に引き続き、今回は、アフリカ・ナミビアの砂漠に残された100年前の家々の痕跡を撮影したシリーズ〈室内の砂丘〉を、銀座と南青山の二会場でご覧いただきます。 銀座・ギャラリーせいほうでは大作7点、南青山・ときの忘れものでは20点組の初のポートフォリオを出品します。 初日5月30日(月)17時〜19時まで、ギャラリーせいほうでオープニングを開催します。 シリーズ〈室内の砂丘〉については、「尾形一郎・尾形優のエッセイ」、「山口由美のエッセイ」をご覧ください。 「ナミビア:室内の砂丘」 尾形一郎 尾形優 私たちの目的は、建築という方法で、どこまで人の心の深層や無意識の領域が表現できるかということだ。私たちは建築家なので、建築そのものをつくることもできるが、問題をよりはっきりさせるために、既存建築を撮影することによって、2次元の建築を建てる方法を模索してきた。撮影の対象には、特殊な状況下で生まれた過剰建築が、時代に取り残された姿を選んでいる。過去にも、地球規模での文明の変革によって辺境の地に富がもたらされ、建設ラッシュが起こった。こうした地域での建築は、民衆の熱狂的な欲望からつくられるので作為が無く、人間の心の深層が投影されやすい。アカデミックな建築様式にとらわれない辺境の人々は、自分たちを取り巻く文化をより過剰に表現することに邁進するからだ。私たちはそれらの建築群が時代に取り残された姿を発見し、2次元のシュールな建築に圧縮して、無意識の領域を可視化したいのだ。 ナミビアで撮影した今回のシリーズ、「室内の砂丘」は、ダイアモンドラッシュに湧いたアフリカの砂漠に、100年前のドイツ人が残した家々の痕跡だ。私たちが被写体に選んだポイントには、この家々がどれも当時最先端だったゼツェッシオン様式の影響を受けているということがある。ゼツェッシオンは19世紀末にウィーンやドイツにおいて、フロイトの影響を受けた先進的な芸術家たちが、人間の心の内面を表現しようと追求して生まれたデザインだ。しかしヨーロッパから遠く離れたこの地において、つかの間の繁栄の後で町が放棄されると、優雅なゼツェッシオン風の室内に砂漠の景色が広がった。毎日吹きつける砂嵐が、室内に堆積した砂山に美しい風紋を描いている。私たちは、こうした箱庭的な構造に日本の禅庭を連想し、心の内面にある宇宙を見つめるように撮影した。 ■尾形一郎 ICHIRO OGATA ONO 1960年京都府生まれ。主な写真集に「ウルトラバロック」(新潮社)、「HOUSE」(フォイル)、著書に「極彩色メキシコ巡礼」(晶文社)などがある。2009年フォイルギャラリーで個展を行う。 ■尾形優 Yu OGATA 1964年東京都生まれ。1987年早稲田大学理工学部建築学科卒業。一級建築士事務所タイルの家主宰。代表作に「タイルの家」、「フォトハウス」などがある。 <ナミビア:室内の砂丘 尾形一郎 尾形優写真展>出品リスト 2011.5.30[Mon] - 6.11[Sat] 会場1:ギャラリーせいほう(銀座)
会場2:ときの忘れもの(南青山)
ギャラリーせいほう 展示風景 (c)2011 Yu OGATA & ICHIRO OGATA ONO ときの忘れもの 展示風景 (c)2011 Yu OGATA & ICHIRO OGATA ONO オープニング 見積り請求(在庫確認)フォーム |