ときの忘れもの ギャラリー 版画
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井桁裕子のエッセイ−私の人形制作
第42回 「展覧会を終えて」 2012年12月20日
11月22日〜12月1日の「加速する私たち」、無事終了してはや半月以上が過ぎました。
遠方から来て頂いた皆様、寒い中ご来場くださった皆様、そしてお買いあげの皆様、本当にありがとうございました!
さらにネットで書いて下さった方々にも、大変感謝しております。
四谷シモン先生には推薦文を頂くのみならず、ツイッターでたくさんつぶやいてくださって、それを見て来て下さった方も多かったと思います。
また会期中に、腕に覚えのある方が、昼間のお客さんが少ないときを利用して、良い写真をたくさん撮って下さいました。
(DMのための写真なども、人に頼めば良かったのに、などと後から思いました。)
24日の映画「アリア」上映会も、実に暖かく貴重なひとときでした。
企画して下さった綿貫さん、北海道から来て下さった坪川さん、そしてこの機会を楽しみにして来て下さった皆様、ありがとうございました!


(上映会での写真/井桁撮影)

今回の作品はどれも、球体関節人形のスタイルからもっと可能性を広げられないかという模索の旅だったと思います。
「人形愛」あるいはフェティシズムの魅力は、心の片隅の闇と呼応するものですが、私はその不気味で懐かしい場所から遠ざかっていると感じています。
それは私が現在の現実との関わりの中から触れるものを入り口にして、その先に見えるものを制作したいと思っているからです。
具象表現の中になるべく重層的な意味を持たせたものにしたいのです。
とにかくそれは懐かしくはなく、癒されるという結果を求めるものではないのです。また単に風刺的で刺激的なアイデアでもないのです。
ただ古くからある「人形」という何か可愛らしく呼ばれるものがそのベースにあることは間違いなく、様々な種類の愛情について、個人的な物語を秘めた作品を作って行こうと思っています。
個人的な感情や主題は、プライバシーを披露する為に作品化するのではありません。
あらゆる社会的圧力と関係なく、個人的な物語が常に優先し尊重されてあるべしという私自身の態度を作品として示すものです。

これでとにかく一度区切りがついたはずなのですが、思っていたような収束感がありません。
フルマラソンを走り終わってやっとゴールに着いたと思ったら、なんと自分が参加しているのがトライアスロンであったと判明....というような感じでしょうか。次は遠泳とのことで水着に着替えています。
今後ともよろしくお願いいたします。

写真1 写真2

写真3 写真4

写真5 写真6

写真7 写真8

(会場での写真/写真1、2は京谷裕彰さん、3〜8は南青山・月光茶房マスターの原田正夫さん、ありがとうございました!)

(いげたひろこ)

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