尾形一郎のエッセイ 第3回 「撮影について」 2010年6月6日 |
その後は、ウルトラバロックと同様の背景をもつ建築として、沖縄のアメリカ占領時代のモダニズム建築や、ナミビアのドイツ植民地のゴーストタウン、中国で帰国した華僑の建てた洋楼など、辺境の地にあって、西欧近代とのぶつかり合いがおもしろい表現を生んだ建築を、異なった地域、異なった時代に求めて撮影している。
現在でも作品をデジタルカメラで撮ることはない。海外のX線検査に悩まされながら、4x5と8x10の大型銀塩フィルムを持ち歩いている。4X5や8X10といった大型カメラは大きなピントグラスに方眼が引いてあり、アオリも自在で、建築の図面を引くのと同じような感覚で撮影できる。建築というものは世界の在り方を記述した創造物である、というのが私たちの考え方なので、一枚一枚の写真にも世界の構造が反映されていなければならない。三脚を立てて、木製のカメラをどっしり据え、ピントグラスで建築に刻まれた文化を丹念にトレースしていくのだ。 (おがたいちろう)
「尾形一郎・尾形優のエッセイ」バックナンバー 尾形一郎・尾形優のページへ |
|
ときの忘れもの/(有)ワタヌキ 〒113-0021 東京都文京区本駒込5-4-1 LAS CASAS Tel 03-6902-9530 Fax 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com http://www.tokinowasuremono.com/ 営業時間は、11:00〜18:00、日曜、月曜、祝日は休廊 資料・カタログ・展覧会のお知らせ等、ご希望の方は、e-mail もしくはお気軽にお電話でお問い合わせ下さい。 Copyright(c)2005 TOKI-NO-WASUREMONO/WATANUKI INC. All rights reserved. |