ときの忘れもの ギャラリー 版画
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尾形一郎のエッセイ
第3回 「撮影について」 2010年6月6日
 その後は、ウルトラバロックと同様の背景をもつ建築として、沖縄のアメリカ占領時代のモダニズム建築や、ナミビアのドイツ植民地のゴーストタウン、中国で帰国した華僑の建てた洋楼など、辺境の地にあって、西欧近代とのぶつかり合いがおもしろい表現を生んだ建築を、異なった地域、異なった時代に求めて撮影している。
 現在でも作品をデジタルカメラで撮ることはない。海外のX線検査に悩まされながら、4x5と8x10の大型銀塩フィルムを持ち歩いている。4X5や8X10といった大型カメラは大きなピントグラスに方眼が引いてあり、アオリも自在で、建築の図面を引くのと同じような感覚で撮影できる。建築というものは世界の在り方を記述した創造物である、というのが私たちの考え方なので、一枚一枚の写真にも世界の構造が反映されていなければならない。三脚を立てて、木製のカメラをどっしり据え、ピントグラスで建築に刻まれた文化を丹念にトレースしていくのだ。
(おがたいちろう)

尾形一郎・尾形優
「オアハカ1-C」
1995年(1997年プリント)

尾形一郎・尾形優
「オコトラン1-C」
1992年(1997年プリント)

尾形一郎・尾形優
「テポツォトラン1-C」
1994年(1997年プリント)

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