ときの忘れもの 今月のお勧め
■2005年05月28日(土)  おすすめ新着作品のご紹介〜オノサト・トシノブ
DSCN7762.JPG 621×611 93K今週は、オノサト・トシノブのシルクスクリーン作品をご紹介させていただきます。

作家名    オノサト・トシノブ
作品名    Prints B(Ce7)
制作年    1979年
技 法     シルクスクリーン
作品サイズ  20×20cm
額装サイズ  36.5×44cm(四切)
限定部数    250部(E.P.)
サイン     鉛筆サイン
        *レゾネNo.163(アートスペース)
作品の状態  良好・額付
価 格     お問い合わせください。

◆作家の紹介/オノサト・トシノブ(おのさと としのぶ)は、1912年長野県生まれ、本名・小野里利信。10歳のとき群馬県桐生に移り住む。津田青楓洋画塾に学ぶ。日本の抽象美術の先駆者として、親友の瑛九らとともに戦前、戦後と前衛美術の道を歩み続けた。35年黒色洋画展を結成、38年には自由美術家協会会員となる(〜56年、以後無所属)。41年に一兵卒として出征、戦後のシベリア抑留を経て48年に帰国。64年、66年にはヴェネツィア・ビエンナーに日本代表として出品、国際的にも高い評価を獲得した。油彩の他、約200点の版画作品(リトグラフ、シルクスクリーン)も残した。東京国立近代美術館など多くの美術館に作品が収蔵されている。生涯、円を描き続け86年死去。

◆作品のワンポイント/70年代、桐生のアトリエにはよくお伺いしました。私が版画の世界に入り、最初にお会いした作家がオノサト先生であり、今も敬愛する作家のひとりです。
この作品は、私が現代版画センター時代にエディションしたもので、発表時のタイトルは「Ce7」(Ceは現代版画センターのこと。オノサトのエディションとしては7番目という意味)でした。後にアートスペースがカタログレゾネを作成した際になぜか「Prints B」というタイトルに変えられてしまいました。
まあこういうことは良くありますが・・・・
6月7日より東京国立近代美術館でオノサト、瑛九の所蔵作品の特集展示が開催されます。ぜひ二人の名品に触れてください。

■2005年05月20日(金)  おすすめ新着作品のご紹介〜難波田龍起
DSCN8916.JPG 768×1024 202K作家名    難波田龍起
作品名    「王朝の装い」
制作年    1978年
技法      銅版に手彩色
作品サイズ  27×17.8cm
限定 35部(E.A.)
*レゾネ(阿部出版)番号93番
サイン     鉛筆サイン
作品の状態 良好、シート
価 格  お問い合わせください。

◆作家の紹介/難波田龍起(なんばた たつおき)は、1905年北海道・旭川生まれ。1923年早稲田第一高等学院入学。この年の9月関東大震災、震災直後の夜警当番で高村光太郎の面識を得る。1926年早稲田大学政治経済学部入学。この頃エリザベト・ゴッホ著『回想のゴッホ』を耽読する。1927年高村光太郎と第6回日仏美術展を訪れ、ゴッホ「鰊」を見て感動する。太平洋画研究所で石膏デッサンの勉強を始める。1928年光太郎に川島理一郎を紹介され、川島の主宰する絵画研究会の金曜会に入る。この頃ルドンに傾倒。1929年第4回国画会展に初入選。1942年第1回難波田龍起個展(銀座・青樹画廊)開催。1960年アーサー・フロリーより吉田遠志のアトリエで指導を受け、石版画を制作する。1978年現代版画センターより銅版画集『街と人』『海辺の詩』(各7点組、限定75部)を刊行し、ギャラリーミキモトで発表展を開催、以後全国を巡回する。この頃銅版画を集中して制作する。1982年「形象の詩人 難波田龍起展」が北海道・旭川美術館で開催される。1987年東京国立近代美術館で「今日の作家―難波田龍起展」が開催される。1988年第29回毎日芸術賞を受賞。1994年「難波田龍起展」が世田谷美術館で開催される。1995年ときの忘れものより「難波田龍起銅版画集 古代を想う」(4点組、限定35部)を刊行。1996年文化功労者に選ばれる。1997年逝去。

◆作品のワンポイント/私が現代版画センター時代にエディションした難波田龍起先生の銅版の中の1点です。難波田先生が本格的に銅版画を始めたのが1977年ですので、比較的初期の作品です。オブジェを思わせるモチーフがキュビスムのようなタッチで構成されており、それに加えられた手彩色がたいへん美しく、魅力的な作品となっています。
先生の銅版画については、私の拙いエッセイをお読みいただければ幸いです。
http://www.tokinowasuremono.com/essayg/nanbata01.html

■2005年05月13日(金)  おすすめ新着作品紹介〜駒井哲郎
DSCN8737.JPG 493×663 84K今週は、銅版画の詩人・駒井哲郎の名作のご紹介です。

作家名    駒井哲郎
作品名    「恩地孝四郎頌」
制作年    1974年
技法      アクァチント(亜鉛版)
作品サイズ  20.7×10cm 
額装サイズ  47.3×35.3cm
限定部数    50部
サイン     鉛筆サイン
作品の状態 額装、良好。
        美術出版社レゾネNo.309、東京都美術館カタログNo.318
価 格       お問い合わせください。

◆作品のワンポイント/駒井先生は私の最も敬愛する作家のひとりであり、最晩年の新作発表展を全国各地で開催することができたのは、私の画商人生の大切な勲章である。その駒井先生が、私のもう一人の敬愛してやまない作家である恩地孝四郎へのオマージュとして制作したのがこの作品です。
2000年春に世田谷美術館で開催された「駒井哲郎展ー福原コレクション」カタログに執筆した私の拙文、
http://www.tokinowasuremono.com/essayg/komai01.html も併せてお読み下さい。

◆作家の紹介/「銅版画の詩人」と謳われた駒井哲郎(こまい てつろう 1920〜
1976年)については、いまさら説明するまでもないが、戦後の荒廃した中でいち早くサンパウロ ビエンナーレ展で受賞し、棟方志功とともに「版画王国日本」を世界に知らしめた功労者である。若くして日本版画界のスター的存在となり、その後の現代版画をリードし続けた。
詳しい略歴は、http://www.tokinowasuremono.com/editiong/9komai.html をご参照下さい。

■2005年05月06日(金)  おすすめ新着作品紹介〜舟越保武
DSCN7841a.JPG 603×772 89Kおすすめ新着作品紹介の第2弾は彫刻家・舟越保武の美しいリトグラフ作品です。

作家名 舟越保武
作品名 「聖セシリア」
制作年 1982年
技 法  リトグラフ
作品サイズ  24.5×22.5cm
シートサイズ  42×33cm
サイン  鉛筆サイン
限 定 Ed.200 (E.A.)
備 考  シート
価 格  お問い合わせください

◆作家の紹介/舟越保武(ふなこし やすたけ)1912年(大正元)岩手県生まれ、39年東京美術学校卒業、新制作派協会の創立に参加。独学で大理石の直彫り彫刻をはじめる。戦後、カトリックの洗礼を受け、信仰に支えられた崇高で清潔な人間像を作り続けた。58年「長崎二十六殉教者記念像」に着手し、5年の歳月をかけて62年に完成し、高村光太郎賞を受賞。以後、大理石やブロンズによる具象彫刻で中原悌二郎賞、芸術選奨文部大臣賞などを受賞し、文字通り現代彫刻の巨匠として活躍した。80年前後から版画制作にも取り組み、石版(リトグラフ)や銅版に秀作をのこしたが、87年脳硬塞に倒れた。車椅子による不自由な体をおして左手だけで制作を再開し、99年には文化功労者として顕彰された。香気あふれるエッセイでも知られ、著書「巨岩と花びら」で日本エッセイスト・クラブ賞も受賞している。2002年2月5日死去、奇しくも長崎で26聖人が昇天した日だった。享年89。舟越桂、直木の息子たちも立体作家として活躍している。

◆作品のワンポイント/敬虔なカトリック教徒だった舟越先生は、彫刻はもとより、版画でも多くの聖女を制作しています。この作品もその1点ですが、繊細なタッチで描かれた絵から、献身的でストイックなまでの気高い精神性が感じられる佳作です。

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