■2012年01月10日(火)
セザール「圧縮されたオートバイ」
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| 「圧縮されたオートバイ」 1975年 ミクストメディア 22.0x35.0cm Ed.60 サインあり
フランス版アカデミー賞ともいうべき映画のセザール賞で知られるセザールとは、本名セザール・バルダッチーニ(César Baldaccini, 1921年〜1998年)、20世紀フランスを代表する彫刻家で自動車をプレス機で圧縮した彫刻作品で知られる。 セザールのファンである亭主は、1989年のエッフェル塔100周年を記念した展覧会を企画した折にパリと東京を往復し、セザールはじめ、ジャン・ティンゲリー、エドゥアルド・アロヨ、ヴァレーリオ・アダミ、フェルナンデス・アルマンの5人の作家にエッフェル塔へのオマージュ版画を制作してもらったことがあり、その名はことさら懐かしい。
今回の《圧縮されたオートバイ》は、クラヴァンヌが映画芸術技術アカデミーを設立した同じ年に制作された魅力的なマルチプル作品です。因みに翌年の第一回授賞式でセザール賞を手にしたのはロベール・アンリコ監督、フィリップ・ノワレ、ロミー・シュナイダー出演の「追想」でした。
◆セザール Cesar(1921-1998) 1921年フランスに生まれる。本名セザール・バルダッチーニ(Cesar Baldaccini)。20世紀フランスを代表する彫刻家。マルセイユとパリの美術学校で学び、1947年から鉄の彫刻制作を始め、1954年に初個展を開き、廃品を集めた総合彫刻を発表。 1960年友人の工場で目にした、スクラップを四角い金属塊に圧縮する大型プレス機に魅せられる。手作業によらず自らの意のままにならない作品―廃車を押しつぶした「圧縮(コンプレッション)彫刻」はそれまでの自身の彫刻の概念を乗り越えてしまった。この圧縮された自動車は同年のサロン・ド・メに出展され賛否両論の話題をさらい、やがて国際的な評価を獲得、さらにポリウレタンの膨張力を利用したオブジェ「拡張」シリーズの制作へと展開する。世界各地のパブリック・アート設置に招かれ、膨張彫刻や自らの親指を巨大にした型取り彫刻などを設置する。友人のジョルジュ・クラヴァンヌが主催し始まったフランスの映画賞のためにトロフィーとなる彫刻を制作、この賞は「セザール賞」と呼ばれるようになった。1998年、歿。 | | |