■2012年04月20日(金)
ロバート・メイプルソープ 《Helmut》
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| ロバート・メイプルソープ <X -Portfolio>より "Helmut" 1978年 ゼラチンシルバープリント・ドライマウント 作品サイズ :19.5cm×19.5cm フレームサイズ:63.5cm×63.5cm Ed.25 サインあり
1989年3月9日エイズで亡くなったロバート・メイプルソープは、42歳の生涯で「静物(主に花)」「ポートレート」「ヌード」「セックス」の4つのテーマをもとに優れた写真作品を制作しました。 率直で官能的な作品が美術館に収蔵されるか論議を呼び、日本でもニューヨークのホイットニー美術館が1988年に開いた回顧展のカタログが輸入禁止となり裁判にまで発展しました。 「わいせつ図画」とは何かを問う、この裁判では一審、二審で判決が異なり、2008年の最高裁判決は、このカタログ(写真集)を「メイプルソープ氏の写真芸術の全体像を概観するもの」と判断し、日本国内への持ち込みを禁じた税関の処分取り消しを命じ、国側敗訴が確定します。 下級審におけるわいせつ物認定が最高裁で取り消されるという画期的な判決でした。
■ロバート・メイプルソープ 1946年ニューヨーク市に生まれる。16歳の時にブルックリンに転居しプラット・インスティチュートで絵画、彫刻を学ぶ。1967年に詩人で歌手のパティ・スミスと知り合い共同生活を開始。 この頃からポルノ雑誌を切り取ってコラージュの制作を開始したり立体、インスタレーションなどに取り組む。写真はポラロイドから始め、パティ・スミスなどの仲間を モデルにしたり、身の回りの静物を使い、構成、色彩、照明、サイズ、フォーマットなどの試行錯誤を行う。1976年にハッセルブラッドカメラを入手し、ネガフィルムによる作品制作を開始。1978年ミッドタウンの有名画廊ロバートミラーでパティ・スミスのポートレートを展示し、同画廊の専属となる。 メイプルソープは「静物(主に花)」「ポートレート」「ヌード」「セックス」の4つのテーマを主軸に制作を行った。 作品は性の解放や同性愛者の社会的権利など、当時の時代背景や社会問題と切り離せない関係にあるが、特に率直な官能表現の作品などは大いなる絶賛とバッシングの両方を受けることとなった。一枚の写真から構成や色彩、ライティング、サイズ、フレームなど細部に至るまで計算して被写体および構図の中にバランスと完璧さを求めた。1980年代に入ると名声は高まり、各界の有名人、著名人からポー トレート写真の依頼が寄せられるようになる。商業雑誌やイブ・サンローランなどの広告の仕事も行なうようにる。作品制作ではコマーシャルがきっかけでカラー写真にも取り組みはじめ、 1985年以降は多種多様な表現方法を模索し、麻にプラチナプリント、絹 にグラビア・プリントなどを開始する。1989年、歿。 | | |