ときの忘れもの 今月のお勧め
■2011年04月30日(土)  マン・レイ
nicky_20110430.jpg 600×421 48Kマン・レイ
「Boite d’allumettes(マッチ箱)」
1962年頃
マッチ箱・鳥の人形
マッチ箱:H7.8×W5.6×D3.3cm
鳥の人形:H6.2×W6.5×D3.5cm

2010年9月のときの忘れものの展示では、宮脇愛子アトリエの全面的な協力を得て、1959年からマン・レイの亡くなる1976年まで続いた二人の交流の軌跡をマン・レイ撮影の宮脇愛子やジュリエット夫人のポートレートのヴィンテージプリントをはじめ、宮脇のために制作したオブジェなどのオリジナル作品他で辿り、当時の宮脇愛子の平面作品(油彩他、ミクストメディア)も展示しました。
作品の他にも磯崎新撮影によるマン・レイのアトリエでの貴重な写真や、マン・レイやジュリエット夫人、瀧口修造たちの手紙、マン・レイから宮脇に贈られた夥しいカタログ、書籍、案内状などの一部も初公開しました。
さらに宮脇愛子の版画(銅版、シルクスクリーン)、マルチプル作品なども展示し、宮脇へのインタビューを収録したDVDの上映などによりその多彩な制作活動の一端もご紹介しました。

マン・レイ Man Ray(1890-1976)
アメリカ合衆国の画家、彫刻家、写真家。ダダイストまたはシュルレアリストとして、多数のオブジェを制作したことでも知られる。
レイヨグラフ、ソラリゼーションなど、さまざまな技法を駆使し、一方でストレートなポートレート(特に同時代の芸術家のポートレート)も得意とし、ファッション写真と呼べるような作品もあったりと、多種多様な写真作品群を残している。

■2011年04月20日(水)  小野隆生「船が見える場所 II」
nicky_20110420.jpg 213×600 40K小野隆生
「船が見える場所 II」
2008年
テンペラ・画布
170.0×60.0cm
サインあり

今週のお勧めは、イタリアで制作を続ける小野隆生のテンペラ作品です。
小野さんが初個展を開いたのは1976年5月24日〜6月2日、洲之内徹さんが銀座で経営していた現代画廊ででした。
以来35年、小野さんはイタリアの小さな山岳都市に住みながら、淡々と肖像画を描き続けています。発表は数年おきに開く個展が主で、それもこちらから熱心に口説かないと実現しない。
肖像画といっても、特定のモデルがいるわけではなく、すべて小野さんのイメージの中の人物像です。
今回ご紹介するのは2008年の個展で発表した作品です。

小野隆生 Takao ONO(1950-)
1950年岩手県生まれ。71年渡伊、以来イタリアに在住。国立ローマ美術学校・フィレンツェ美術学校・国立ローマ中央修復研究所絵画科で学ぶ。77〜85年イタリア各地の教会壁画や美術館収蔵作品の修復に携わる。76年銀座・現代画廊で初個展、銀座・G池田美術、盛岡・MORIOKA第一画廊、ときの忘れもの他で個展。資生堂ギャラリー[椿会展]に出品。テンペラ画手法による肖像画を一貫して制作している。

■2011年04月10日(日)  細江英公「Villa Bottini #2」
nicky_20110410.jpg 475×600 113K細江英公
「Villa Bottini #2」
2009(Printed in 2011)
Type-C print
55.6x43.3cm
Ed.6/10-Ed.10/10
Signed

2010年の文化功労者に選ばれた写真家・細江英公の新作による〈ヴィッラ・ボッティーニ〉12点連作は、イタリアのルッカにある16世紀の貴族の館を舞台に、ルネサンス期のフレスコ画と21世紀の細江作品との息詰まるような「対決と融合」の瞬間を捉えた作品です。
2009年11月の細江英公展の会場となったヴィッラ・ボッティーニは天井や壁面にフレスコ画が描かれた邸宅で、その絢爛たる空間に、総延長120mにわたり、細江先生と日本の職人チームが日本的伝統美の粋をこらした赤・青・緑の壁面をしつらえ、〈おとこと女〉〈薔薇刑〉〈鎌鼬〉〈ガウディの世界〉〈春本・浮世絵うつし〉他の代表作の絵巻、軸、屏風を展示しました。ヨーロッパの壮大な古典的建築空間と、和の色彩世界の対決と融合は、カラー作品でなくては表現できなかったでしょう。
撮影は2009年ですが、発表するのは2011年3月に行われたときの忘れものでの個展が初めてでした(ヴィンテージ)。ホームページに掲載した12点の画像はいかにもけばけばしい感じですが、実物作品の瑞々しい、したたるような美しさには思わず溜め息が出ます。

細江英公 Eikoh HOSOE(1933-)
写真家。清里フォトアートミュージアム館長。1933年山形県生まれ。本名・敏廣。18歳のときに[富士フォトコンテスト学生の部]で最高賞を受賞し、写真家を志す。52年東京写真短期大学(現東京工芸大学)入学。デモクラート美術家協会の瑛九と出会い強い影響を受ける。54年卒業。56年小西六ギャラリーで初個展。63年三島由紀夫をモデルに撮った[薔薇刑]で評価を確立し、70年[鎌鼬(かまいたち)]で芸術選奨文部大臣賞受賞。
[薔薇刑][鎌鼬][抱擁][おとこと女]などの写真集は今や稀覯本です。瑛九の周辺に集まった画家たちの中では最年少だった細江先生ですが、98年紫綬褒章、2003年には英国王立写真協会創立百五十周年記念特別賞を受賞するなど、国内外において高い評価を獲得しています。功なり名を遂げても一ケ所に安住することなく、時代の先端をカメラを通して見つめ、謙虚で若い才能を愛する姿勢は一貫しています。

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