■2013年04月30日(火)
萩原英雄「星と花」
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| 萩原英雄 《星と花》 1984年 木版 67.0x47.5cm Ed.150 サインあり
版画家としての萩原先生は有名ですが、戦前は編集者として活躍し、そもそも版画を手がけたのが40歳過ぎてから、それも年賀状制作がきっかけだったという遅咲きだったことを知る人は少ないでしょう。
少年時代を朝鮮半島で過ごした萩原先生は、中学三年の春上京、耳野卯三郎に師事。文化学院美術部を経て東美校油絵科を1938(昭和一三)年に卒業。同年、羽藤馬佐夫らと朔日会を結成(第三回展まで出品)。 翌年高見澤木版社に入社します。浮世絵関係では有名なところですが、吉田暎二や小野忠重らが編集者として働いており、刷り師として平井孝一が在籍していました(後に恩地孝四郎の後刷りを担当)。 この高見澤木版社で浮世絵をはじめ木版全般を学びますが、当時資生堂ギャラリーで度々開催された「高見澤版木版芸術展」の企画担当者が萩原先生でした。
萩原先生が初めて木版画を手がけたのは、結核の療養中、年賀状を作ったのが始まりでした。 その後、様々な技法の探求を行い、浮世絵版画からヒントを得て、裏にも摺りを行う「両面摺り」という独自の技法を編み出し、従来の木版画の域を超えた、重厚で奥深い表現を獲得しました。
■萩原英雄 Hideo HAGIWARA (1913-2007) 1913年山梨県甲府市生まれ。1933年東京美術学校油画科に入学、南薫造に師事。1938年同校を卒業、高見澤木版社に入社。1951年銀座資生堂で油彩作品による初個展。1953年結核の療養中に木版を始め、1956年には東京・養精堂画廊で版画による個展を開催。1960年第2回東京国際版画ビエンナーレ展で神奈川県立近代美術館賞を受賞、1962年第7回ルガノ国際版画ビエンナーレ展、1967年第1回チェコスロバキア国際木版画ビエンナーレ展で各々グランプリを受賞するなど、国内外で数々の賞を受けています。1983年紫綬褒章を受章。 | | |