一原有徳

Arinori ICHIHARA

(1910-2010)

徳島に生まれ、３歳のときに家族で北海道に移住する。１９２７年逓信省小樽貯金支局に入局し以後４３年間勤務する。職場の同僚須田三代治のすすめで絵画を始め、１９５１年に小樽市美術展に初出品。１９５８年から制作をはじめたモノタイプが土方定一の目に留まり、土方の推薦によって１９６０年メキシコ等を巡回した「現代日本の版画店」に出品、同年には東京画廊で個展を開催し一躍注目を集める。

まもなく金属凹版にも着手し、モノタイプと並行して制作を行う。腐食した廃材を金属版として利用したり、糸や金網などをプレスしたりするなど、既存の版概念にとらわれない実験的な試みによって、物質的な質感を帯びた独自の幻視的なイメージを追求した。登山家や文筆家としても知られている。